作品の紹介を読むと一風変わった設定だったので面白そうだなと思って見に行きました。主演のシアーシャローナンはとても注目している若手女優さんという理由もありました。
16歳のエリザベス(シアーシャ)はアメリカからイギリスに住むいとこたちに初めて会いに来た。彼女は父親のつけたエリザベスという名前が大嫌いで周りの人にはデイジーと呼んでと言っている。髪を金髪に染め鼻ピアスをし常にヘッドホンで音楽を聞いている反抗期まっただ中といった雰囲気のデイジー。空港に迎えに来たのはいとこ兄弟の次男坊アイザックトムホランド。なんだか田舎のダサい子って感じでフレンドリーに接してくるけれどデイジーは一切打ち解けようとしない。家に着くと妹のパイパーハーリーバードがデイジーの到着を楽しみにしていてまとわりついてくるが、それもデイジーにとってはうっとうしいだけ。唯一長男のエディージョージマッケイがカッコ良くて少しドキッとした。
3人の母親アンナチャンセラーは仕事に忙しく家は散らかり放題だが、子どもたちにとってはパラダイスのようで隣の家の男の子もいつも遊びに来ていた。一緒に釣りに行こうとか、泳ぎに行こうとかアイザックは一所懸命デイジーを誘うがデイジーは素っ気ない。しかし、エディーとの間に少しずつ恋心が芽生え頑なだったデイジーの心が開き始める。
いとこ同士でありながらエディーとデイジーは恋に落ち、2人を中心に子どもたちは楽しい時を過ごす。しかし、それもつかの間、ロンドンで核爆発が起き第三次世界大戦へと突入しようとしていた。3人の母親はスイスに出張中で、子どもたちだけで田舎でなんとか暮らしていたが、デイジーはアメリカ人ということで大使館から脱出のための航空券を渡される。しかし、デイジーはこれを無視しエディーたちと一緒にいる道を選ぶ。
彼らのいる田舎にも軍隊がやってきて女子と男子を引き離し、離ればなれにさせられてしまう。デイジーは別れるときにエディーが言った「何があってもここに戻って来よう」という言葉を胸に預けられた先で脱走の準備をし始める。
戦争が舞台となっていますが、これ完全に青春物語ですね。原作もハイティーンをターゲットにしたものなんでしょうね。このあとパイパーを連れて疎開先を脱走しエディーたちと住んでいた家に戻ろうとするデイジーとその周辺で起きている悲惨な状況の描写があり、最終的に甘ったれた反抗的な少女が自らの運命を強く受け入れて愛する者と行きていく決心をするまでが描かれる物語。
話しそのものは単純で確かに高校生向けという感じなのですが、子どもたちが自由に遊ぶ姿や惹かれ合うデイジーとエディーや、戦況がまったく分からないまま混乱に陥る人々など大人が見ても飽きることはありません。前半の牧歌的な部分と後半の悲惨な部分の対照がとても効果的でした。戦争や紛争、テロが起きて奪われるすべての物が前半に集約されています。突如訪れる戦禍の混沌が、現在の世界中の状況を見ていると他人事とは思えずぞっとする部分もありました。
それに何と言ってもシアーシャローナンが素晴らしい。登場人物はたくさんいるもののほとんどが彼女の独壇場と言っても過言ではないこの作品の中で、見事に1本の映画を背負って立っています。彼女はこれまでも複雑な役を演じているし演技の面ではすでにお墨付きだと思うのですが、いままでのイメージが清楚な感じだったので、このアイラインをぐるぐる入れた反抗期のアメリカンガールというのは意外なキャスティングでした。でもそれを何の違和感もなく演じてしまうところがやはりこんなに若くして演技派と言われる彼女だけあると思います。
原題は「How I Live Now」で、「今の私の生き方」「私はこう生きている」って感じなので、どうしてわざわざ「生きていける」という訳にしたのかは少し疑問です。題名だけではなくデイジーの最後のセリフにもなっているので「生きていける」にしたのは少し違和感がありました。
若い子の感性で見ればもっとビビットに感じるものがあるのではないかなぁと思います。
わたしは生きていける
NOノー
1988年チリ。軍事独裁を続けるアウグストピノチェト政権の信任継続延長を問う国民投票が行われることになった。ピノチェト政権は政治犯の拷問・投獄などを行っていたが経済的成長を成し遂げたため、国民に間では信任派がたくさんいた。庶民の間では長らくの独裁のため政治に期待しても無駄というあきらめムードもあり、当初は信任派が勝つであろうとされていた。
広告マンのレネサアベドラガエルガルシアベルナルは信任継続反対派の中心人物である友人ウルティアルイスニエッコから依頼を受け、信任派、反対派が選挙期間中にそれぞれ1日15分間流すテレビCMを作成することになる。
まず軍事独裁政権に対する信任投票でYESに投票する人のほうが多いと考えられていたという状況に驚いた。ブルジョア層は別としても庶民層までもが経済的発展を理由に数々の政治犯を逮捕・拷問・監禁している政権にYESというのだということに愕然とした。
当然NO派は、政権が行っている拷問での死者の数、行方不明者の数などを並べ立てたCMを作る。
広告マンのレネは言う。「こんなの楽しくない」
「は?」
である。
人々を苦しめる軍事独裁政権にNOと言うのに、「楽しくない」とは何事だ?と上層部と揉めるレネ。レネには広告マンとして確固たる自信があった。いくら正しいメッセージでも暗くて辛いだけのCMに人々は心惹かれないのだと。人々が目をやるのは楽しくて喜びにあふれて未来を感じさせるCMだと。
軍事政権側から嫌がらせを受けながらも着々とCMを作成するNO派。徐々に人々の間にNO派が増えていく。。。
という展開でレネのCMが人々の心を掴み、NO派が増えていっているっていうのはもちろん歴史が証明していることだから分かるんだけど、実はこの作品の作りではいまいち分かりにくい。巷に溢れるNOバッジとYESバッジではNOバッジしか売れないからYESバッジは置いていないとかいうニュースが流れたりはするんだけど、これもNO側が流している番組の一部だからこれが宣伝なのか事実なのか分からない。
この作品の場合、軍事独裁政権にNOと言う事によって人々が解放されたということを知っているからレネの作ったCMは素晴らしいという評価を下しがちだけど、これはどちらの側に使われてもおかしくはないわけで、CMで世論を変えることができるという証明としては、ある意味ではとても怖いことだなぁと思った。小泉政権が繰り広げたワンイシュー選挙を通じるものを感じた。世論なんて簡単にころっと騙されるものだなぁと。騙されるというと人聞きが悪いですが。
レネとYES派の上司ルチョグスマンアルフレドカストロの関係が興味深かった。グスマンはYES派でNO派に加担するレネに対して脅してみたり昇進の条件を出して懐柔してみたり、汚い手も辞さない雰囲気でレネを説得にかかるんだけど、レネの妻ベロニカアントニアセヘルスがデモで逮捕されたときなどは、当局に口を聞いて釈放させてくれて「上司の仕事だから」と言ったりして、政治的信条が違うというだけで友人には変わりないという態度でいた。
1988年の雰囲気を出すためか、ビンテージカメラで撮影されたらしく逆光がまぶしく映像も荒くて見にくい。確かに昔の時代の雰囲気は出てるんだけど、ワタクシはいまの普通の映像で撮ってくれたほうが見やすかったなぁという気がした。
レネに関して、レネのお父さんもどうやら政治犯的な人だったらしく、レネには海外で暮らした経験がある、とか、奥さんは別に男の人と暮らしている、とか、はっきり語られないけどほのめかされるだけということが多くてちょっと謎な部分も多かったです。
ガエルガルシアベルナルは顔が可愛らしくて背も小さいから、大人の役者になりきれるのかなーと余計な心配をしていましたが、こういう役をやってもまったく違和感がなくなってきました。これからも楽しみな役者さんです。
小さな劇場ではありますが、立ち見が出ていました。注目されている作品のようですね。
オマケ話と全然関係ないんですが、ガエルくんの後ろ髪が1、2本ちょろっと長いのが気になって仕方ありませんでした。本物のサアベドラさんがそういう髪型だったのかな。
恋するリベラーチェ
公開していた時に見たかったのですが、時間が合わずレンタルして見ました。
アメリカではHBOがテレビ放映をしてエミー賞をいくつか受賞していたので、どうして日本では劇場公開なんだろうと不思議に思っていたら、どうやら題材のせいでアメリカでは配給会社がつかなかったらしい。人気のあるマイケルダグラスとマットデイモンがゲイの濃厚ラブシーンを演じるなんてダメ。アメリカっちゅう国はそういう国ですね。
1950年代から80年代にかけて活躍したエンターテイナー・リベラーチェ(ダグラス)の舞台での活躍とゲイということを世間には隠しながら、私生活では若いツバメを拾っては捨てていたプライベートな部分を描く。主に1977年からのスコット(デイモン)との出会いと別れを描く。
リベラーチェ本人が動いている姿を見たことがないので、どこまで似ているのかっていうのは分からないけれど、マイケルダグラスがリベラーチェに扮して舞台に立つ姿がもう素晴らしい。あれを見て彼のことをゲイだと思わない人がいる、というか世間は彼のことをゲイとは思ってなかったなんて信じがたいですがね。。。マイケルダグラスはもちろんリベラーチェを研究して舞台を再現したのだろうから、リベラーチェの舞台ってきっとあんなだったんでしょうね。きらびやかな衣装に超絶ピアノと楽しいおしゃべり。多分当時としてはとても珍しい舞台だったんだろうな。なんかねー、リベラーチェがとっても可愛い人に見えました。ちなみにあの超絶ピアノは首だけ挿げ替えているかなんかのCG処理なんでしょうね。それでも全然違和感なくマイケルダグラス自身が弾いているようで最近のCG技術にびっくりです。なんかでもリベラーチェはゲイの男の人っていうより、可愛いおばちゃんみたいにも見えたな。良い意味で。
さてそのリベラーチェに気に入られたスコット。これもマットデイモンがめちゃ頑張ってます。まさか彼があのジェイソンボーンだなんて誰も思わないくらい。真っ白のホットパンツとかはいちゃうんだもんなー。
ラブラブ時代のリベラーチェとスコットの関係がまたすごい。スコットに身の回りの世話を全部させて舞台にも立たせてすべて与える代わりにスコットには全身全霊で自分に尽くさせるリベラーチェ。まぁ、そこまではお金持ちとその若い愛人という関係ではありふれていると思うんだけど、なんとリベラーチェの希望でスコットの顔を自分に似せて整形しようってゆーんだからすごい。スコットもその提案には戸惑うもののそこはやっぱり純粋に恋人というよりも主従関係という感じだから断れなかった。
ここで登場する整形のジャックスターツ医師をロブロウが演じているんだけど、よくいる美容整形の医師らしくこの人自身もすごい整形している顔で、ロブロウが目とか口元を思い切りテープで引っ張って登場したので笑ってしまった。
顔の整形までしたスコットでしたが、結局後釜の若いツバメが現れて自分は捨てられてしまうんですよねー。自分の前の人がそうだったように。それで2人は泥沼の慰謝料裁判まで至ってしまう…リベラーチェもなぁ、そんなに若いのをとっかえひっかえしたいなら、別れ際はきれいにしなきゃだめだよねー。そこんとこあんまり上手な人ではなかったようですね。
結局捨てられてしまったスコットですが、数年後リベラーチェがエイズを発症して亡くなる直前に呼び出されて会っているんですね。傲慢でわがままな恋人だったけど、愛が消えたわけではなかったんでしょうね。スコットにしてみれば、一般の人が見ることのできない夢を見せてくれたのも彼だったわけですから。
リベラーチェって本当にどうしようもない自分勝手な人だったと思うんですけど、なんかそういうのもスターだからこそ許されてしまうというのかな。天性のスターだったんでしょうね。そんな人でも他人を惹きつけずにいられないというような。それだけに病魔に侵された姿は悲哀に満ちていて見ているのが辛かったです。
主演2人の演技も素晴らしく自分からは程遠い夢の世界を垣間見せてくれる作品でした。大阪出身のメイクアップアーティストである矢田弘さんがエミー賞の特殊メイクアップ賞を受賞した作品でもあります。
かぞくのくに
これも公開時に見逃した作品。ケーブルテレビで見ました。ヤンヨンヒ監督の実体験を基にした作品。
北朝鮮への帰国事業で25年前に日本から北朝鮮に渡った長男ソンホ井浦新。このたび病気の治療のために日本に一時帰国することが許され、アボジ(父)津嘉山正種、オモニ(母)宮崎美子、妹リエ安藤サクラは大喜びでソンホを迎える。
帰国事業について分からない方にはググッていただくとして…ワタクシもこのお話が始まってしばらくはちょっと納得のいかないものがあった。25年振り?ソンホっていくつよ?どう見ても40歳代前半にしか見えない。ならいくつの時に日本にいる家族と別れて単身北朝鮮に渡ったの?という疑問が頭をもたげていたからだ。
しばらく見ているとどうもこの家族のアボジは、北朝鮮の社会主義と思想を同じくしているらしいということがアボジの弟テジョおじさん諏訪太朗の話から分かってくる。テジョおじさんはどうやら日本で商売に成功しお金は随分持っているっぽい。ソンホとリエのことは自分の子供のように可愛がっており、ソンホの帰国のために北朝鮮側に随分寄付もしたようだし、ソンホにもお小遣いと言ってそこそこのお金をぽんと渡してくれる。テジョおじさんはビジネスが成功している分、資本主義万歳と思っているようだけど、アボジはそうではないようだ。そのアボジの思想のためにソンホはたった16歳で単身北朝鮮に渡った。そのことがはっきりと分かるのはお話が後半になってからなので、その間さきほど書いた疑問が気になって仕方なかった。
一時帰国の期間は3か月。オモニはあまり大はしゃぎはしていないが、長男が帰って来て一番嬉しいのはもちろんオモニだっただろう。アボジは病気の治療のためにも滞在を半年までなんとか延ばせないかと働きかけをしていた。妹のリエは一番はしゃいでいて、お兄さんと買い物に出かけたり同窓会の準備をしたりして、お兄さんの当時の恋人スニ京野ことみと会わせたりなんかもしていた。
しかし、ソンホはそんなリエのはしゃぎようとは裏腹に多くを語ろうとしない。家族の側にはもちろん監視役のヤン同志ヤンイクチュンが常に見張っていて、自由な発言はできないというのもあっただろうけど、それだけではなく、どうも25年間もあの国にいたソンホは普通に何も考えずに好きなことを言うということができなくなっているように見えた。しかもそれだけではなく、リエに対し工作員のような仕事をするつもりはないかと持ちかけてきて、そのような任務を言い渡されて日本に来たことが分かる。
兄にそんなことを言わせるあの国に対するリエの怒りをヤン同志にぶつけ、それでもまるで木で鼻をくくったような態度に怒りをぶつける場所がなく苦悩する姿が真に迫っていた。安藤サクラのここんとこの演技と監督の演出が非常に良かったと思います。あのどうしようもない感じ。よくある演出ならテーブルや壁を叩くとか窓を割るとかしちゃうとこですが、あの空中を拳で叩いている表現がとてもリアルでした。
病院で脳の腫瘍を診てもらうソンホだったが、滞在期間が3か月では思うような治療はできないと手術を断られてしまう。それでも引き受けてくれる医者を探そう、滞在を半年に延ばしてもらおうと家族が奔走する中、突然の帰国命令が下る。国から帰れと言われれば理由など聞かずにただ「はい!」と言って帰る。それが当たり前の国。こちらで生まれ育ったリエにはそんなこと納得がいくはずもない。そんなリエにソンホは言う。「あの国はそういう国なんだ。ただ従って思考停止して生きるんだよ。楽だぞ、思考停止」と。兄をそんなふうにしたあの国。そんな国にたった16歳の兄を送り込んだ父。リエはそんな父親を一生許せないと思った。そんなリエの気持ちが痛いほどに伝わってきた。
本当にどうしようもない。ソンホの家族は北朝鮮に残されている。もしこのままソンホが帰らないなんてことがあったら、北朝鮮の家族は強制収容所送りになるだろう。アボジもソンホがこんな目に遭うなんて思って北朝鮮に送ったわけではない。当時北朝鮮は「地上の楽園」と考えられていたのだから。
急な帰国が決まったとき、オモニは貯金箱を壊して慌てて出て行った。何を買ってやるんだろう。そう思っているとオモニはヤン同志に新しいスーツと靴とカバンを用意した。「日本から帰すのにあんな格好で帰せない」オモニにできる精一杯のあの国への抵抗だったのか。この先ソンホをずっと監視し続けるであろうヤン同志への心づけだったのか。どちらにせよ、母親の愛に涙が止まらない。
戻って行ったしまった兄のことを思いながらリエは兄が気に入っていたスーツケースを買いに行く。「お前こういうの持って世界中旅して来いよ」そう言っていた兄。自由に旅をするなんていうことは一生できないであろう兄。そんな兄の代わりに、というリエの決意が見えるラストだった。
これは2011年の作品である。その当時に見ていたら、ワタクシも大手を振って「日本のように自由ではない国」という見方ができただろう。でもいま2014年の日本で「自由に発言できない国」というのが他人事でなくなりつつあるような気がしてならない。
さよなら渓谷
公開時、集団レイプ事件の加害者と被害者が夫婦になっている話。と聞いて、は???と思ってまったく見る気がしなかったのだけど、今回ケーブルテレビで放映していたので見てみることにしました。
んんん…まぁ映画作品としては悪くないんではないでしょうか。この作品に出てくるこの加害者と被害者がなぜ一緒にいたのかという部分の説明はきちんとできていると思う。このお話の中の説明は完璧だと思う。ただどうしてもどこか割り切れない、もやもやする、という感想は残る。頭で理屈は分かっても心がついていかないとでも言おうか。そういう感じ。
この尾崎俊介大西信満とかなこ真木ようこの内縁の夫婦の過去は思わぬところから明るみに出る。彼らが住むぼろアパートの隣の家で幼児が母親に殺され母親が逮捕され、尾崎がこの母親と不倫関係にありその子どもを殺すよう教唆したのではないかという容疑がかかる。そこへ妻かなこが警察に夫はその子の母親と不倫関係にあったと証言したことで尾崎は連行される。この事件を調べていた記者・渡辺大森南朋は尾崎夫妻の過去へと調べを進めていく。
その過程で尾崎が大学時代、集団レイプの加害者として大学を中退しており、その被害者というのがかなこ(本名ではない)だったということが分かる。なぜレイプ事件の加害者と被害者が共に暮らしているのか。徐々に事件以来2人が歩んだ道が明かされていく。
かなこは事件以来、婚約しても事件を理由に破談にされ、その後結婚した相手からは事件を理由に暴力を受け、自殺未遂を2回していた。その後尾崎と再会。大学の先輩のコネで小さな証券会社に勤めていた尾崎は結婚まで考えていた女性がいたが、かなこと再会したことにより2人で堕ちていく道を選ぶ。かなこは尾崎に復讐のつもりで一緒にいたのだろうか。「私が死ぬことであなたの気が楽になるのなら生きてやる。あなたを殺してあなたが楽になるのなら私は絶対にあなたを殺さない」と言うかなこ。“一緒に不幸になる”それだけが2人が一緒にいられる条件だった。
渡辺の相棒記者鈴木杏が言った「尾崎といれば自分の過去を隠す必要がないからなのか」という一言だけはなるほどと思ったが、実際集団レイプ事件の被害者のPTSDがかなこのように消化されるというのはあまりにもファンタジーの世界のような気がしてならない。高校生だった自分を集団レイプした相手と夫婦として暮らし連日のようにセックスをしているという設定にはどうしても納得はいかなかった。それからいくら若かったとはいえ、女性を集団でレイプした男といまの尾崎の人物像があまりにもかけ離れていて、同じ人間だとは思えない。あんなことをする奴がこんな殊勝な男になるかなー?過去の尾崎と現在の尾崎の架け橋がまったくなくて納得いかない。
かなこが警察にウソをついて尾崎を逮捕させたのは、尾崎への復讐心かそれとも「死ねと言われれば死ぬから」とまで言う尾崎を試したのか。実際尾崎は妻の証言は正しいと警察でウソの自白をしている。それはかなこからされることは何でも受け入れるという証明だったのだろう。そして、いったんその証明がされてしまえば、かなこは満足したのか証言を撤回している。警察もいい迷惑だね。
警察に釈放されたあと、テーブルを買い棚を買い気持ちも新たに生活をと思った矢先、かなこは尾崎の前から失踪する。“2人で不幸になる”それだけが一緒にいられる条件だったので、ふと2人で幸せになりそうになってしまったのからなのか。それまでにはかなこも尾崎に魅かれていただろうし、かなこが幸せになるのはいいとしても尾崎まで幸せになってしまいそうだった。それはかなことしてはできない相談だったというわけか。それでもいつか必ずかなこを探し出しますよという尾崎。
最後に渡辺が尾崎に聞く。「かなこさんに出会わなかった人生と出会った人生のどちらを選びますか?」と。映画は尾崎の表情のアップで終わり、尾崎はその質問には答えないのだけど、おそらく「かなこと会った人生を選ぶ」と考えていそうで虫唾が走った。だってかなこを探し出そうとしている男なんだもの。そりゃ会った人生を選ぶでしょう。でもさ、あなたにさえ出会わなければかなこはあんな目には遭わなかったんだからさ、本気でかなこのことを思うなら自分とかなこが会わなかったほうが良かったと思うはずでしょう。でも、結局尾崎は自分の幸せを考えている。そんな気がして吐き気がした。しかも自分がかなこを探し出すことがかなこの幸せとか思っていそう。っていうのはワタクシの勝手な妄想ですがね。。。ここの解釈はそれぞれにゆだねられているのでしょう。ただ尾崎を幸せにしてしまいそうだから出て行ったかなこには溜飲が下がりました。この後かなこには良い人生があってほしい。
この作品で日本アカデミー賞主演女優賞を取った真木よう子ですが、どうなんでしょうね…彼女の演技はうまいのかどうかいまいち分かりません。激しいベッドシーンに挑んでいるという大胆さと演技力は別に関係ないと思うのでね。。。まぁがんばってるよねーとは思うけど。
読み返すと悪口しか書いていないですね。。。完全にフィクション、ファンタジー、として見るならばいいかなと思います。集団レイプの被害者がたとえ15年の時を経たとしてもその加害者と幸せになるなんて妄想爆発のお花畑もいいところだとはっきり言って思っています。でもこのブログでは過去の作品の場合は自分が面白くなかった作品は取り上げないことに決めています。この作品に関してはかなり評価が難しい。でもあくまでもお話として、映画としてはきちんと成り立っていると思うし見ていて色々と考えさせられるし悪くないと思います。見るときは精神的な覚悟が必要かと思います。
海外ドラマ忘備録14
4月から長期間放置してしまいました。その間にたくさん最終回を迎えたので手短にまとめます。
「GLEE」シーズン1、2、3、4、5(終了)
マッキンリー高校のグリー部が解散してニューヨークのみになってから余計面白くなくなりました。高校のグリー部の話はどこへ???
「ダニーのサクセスセラピー」シーズン1、2(終了)
シーズン2で打ち切りだったようで中途半端に終了してしまいました。まぁまぁ面白かったんですけどねー。
「TOUCH」シーズン1(終了)
なんか都合の良い展開の物語でしたけど、ええ話やなぁというエピソードが多かったのでまぁよしとしましょう。
「REVOLUTION」シーズン1(終了)
面白かったです。ちょっと展開がのろくていらっとする部分もあったけど、先がどうなるのか気になるお話でした。シーズン2で打ち切りになったらしいんですよね…ちゃんと終わってるのかな?中途半端だったらイヤだなぁ。
「クレイジーワン」シーズン1(終了)
先日亡くなったロビンウィリアムズ。残念です。ドラマ自体はなんか中途半端に終わりましたね。ちょっと日本人には分からない笑いも多かったかも。
「ブラックリスト」シーズン1(終了)
最初は一話完結型かと思いきやレイモンドレディントンジェームズスペイダーとエリザベスキーン捜査官メーガンブーンの過去が色々と絡んできてキーンの夫トムキーンライアンエッゴールドもなんやワケの分からん組織の人間で、って後半は毎回ゾクゾクする展開でしたねー。レディントンはどんどんカッコ良くなっていくし、シーズン2も始まるみたいなのでかなり楽しみです。
「レイドノヴァン」シーズン1(終了)
結構高評価なドラマらしいんですが、ワタクシはあんまり面白くなかったなぁ。なんか父と子の確執がうだうだとしつこいくて、誰の気持ちも全然理解できなくて。シーズン2やるみたいですけど、もう見ないかな。
「NCIS」シーズン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11(終了)
ジヴァコートデパブロと交代で入ってきたエレノアビショップエミリーウィッカーシャムがなかなか良い味を出しています。長い間レギュラーが変わらなかったのでここらで良い気分転換になっているのではないでしょうか。
ニューオリンズ支局が登場してLAに続くスピンオフができるというウワサですがどうなっているのでしょうか。
最終回は亡くなったギブスの父役ラルフウェイトを偲ぶ回でしたね。ギブスのお父さん大好きだったなぁ。寂しくなるけど良い回でした。
「ウォーキングデッド」シーズン1、2、3、4(終了)
やっと「終着駅」で再会したと思いきやーーー!なんなんだあの最終回は。シーズン5が気になって仕方ないよー。てか、もうほとんどゾンビ関係ないね。シーズン4は好きなキャラクターが死ななかったので良かったです。カールチャンドラーリッグスがどんどん素敵な青年に成長していますね。
「ママと恋に落ちるまで」シーズン1、2、3、4、5、6、7、8、9(途中)
いよいよファイナルシーズン。ファイナルシーズンは1話からいきなり「ママ」が登場してびっくりした。実はこないだアメリカのエミー賞を見ていたら向こうでは最終回が放映されたあとなので、思い切りネタバレを聞いちゃいました。。。残念。ま、でもオチを知ってしまったとはいえ、一回一回がめちゃくちゃ面白いのでファイナルシーズン楽しみたいと思います。シーズン8ではバーニーニールパトリックハリスのバチェラーパーティの回が最高に面白かったです。
「ロイヤルペインズ」シーズン1、2、3(途中)
ジルジルフリントはまたウルグアイに行くとか言いだしてハンクマークフォイアスタインとの仲はどうなるのかな。エヴァンパウロコスタンツォの恋人ペイジブルックドーセイは何を隠しているんだろう?2人のお父さんがせっかく刑務所に行って消えたと思ったらまた出てきたなぁ。お父さんのエピソードいらない。ディヴィヤレシュマシェティは両親から勘当されちゃいましたね。でも彼女ならきっとやっていけるでしょう。
「ボディオブプルーフ」シーズン1、2(終了)
シーズン2ではミーガンダナデラニーが娘レイシーメアリーモーサとうまくいっていて安心して見られました。アウトブレイクの回では所長ジェリライアンが感染したのを隠していたのが「ありえねー」と思ってしまいました。
シーズン3まであるようなので一応全部見たいです。
「モダンファミリー」シーズン1、2、3、4(途中)
もうこれは安定した面白さ。シーズン4に続いてすぐ5も始まります。ダンフィー家のアレックスアリエルウィンターがどんどん成長してきてヘイリーサラハイランドとどっちがお姉ちゃんか分からなくなってきちゃいましたね。プリチェット家に赤ちゃんも増えてますます楽しみです。
「24」シーズン1、2、3、4、5(途中)
いきなりトニーカルロスバーナードとデスラーレイコエイルスワース夫妻がふっとばされてビックリしました。しかもデスラー死んじゃうしーーーー!すごく好きなキャラクターだったので悲しいです。パーマー元大統領デニスヘイスバードも。ひどすぎる。ローガン大統領グレゴリーイッツェンはムカつく奴ですよねー。決断もできないし。大好きなショーンアスティンが出演してると思ったらなんだか情けない役だった。
「フリンジ」シーズン1、2、3、4、5(終了)
スーパードラマTVがなかなかファイナルシーズンを放映してくれないので業を煮やしてレンタルしました。ついにオブザーバーに侵略された世界。ピータージョシュアジャクソン、オリビアアナトーヴと娘エッタジョージナヘイグの再会が切なかった。このジョージナヘイグが本当にピーターとオリビアの中間のような顔立ちでキャスティングが上手だなと思いました。ファイナルシーズンは切ないシーンが多かったな。泣けるシーンもたくさんありました。オブザーバーが侵略してきた世界でいままでの「フリンジ」とあんまり関係ないやんって思ってたらこれまで登場した色んな機械や武器、ウィルスなどがどんどん登場して嬉しかったです。最後にちゃんと赤の世界に行って未来のフォリビアとリンカーンセスガベルと再会したのも良かったなー。まぁとにかくきちんと最後を結んでくれて非常に楽しめたシリーズでした。オープニングやCM前のグリフもとても凝っていたし何度見返しても新しい発見ができそうなドラマです。
「NYボンビーガール」シーズン1(終了)
もうすぐシーズン2が始まります。めちゃくちゃ楽しみ。好き嫌いが別れるコメディだと思うんですけどね。我が家はバカ受け。
「NCIS:LA」シーズン1、2、3、4、5(途中)
シーズン4が超気になる終わり方をしたのでシーズン5をとても楽しみにしていました。ディークスエリッククリスチャンオルセンの拷問のトラウマがきちんと描かれているのが好感が持てました。Gカレンクリスオドネルのお父さんの話の回は切なかったけど、まだお父さん生きてるんですよね。これからきっと登場してくれるでしょう。
「キャッスル」シーズン1、2、3、4、5(途中)
ベケットスタナカティックとキャッスルネイサンフィリオンがくっついてしまったので、面白くなくなるかなぁと思いましたが、なんか別のドラマになったようではありますが、結構楽しめます。まぁなんでベケットほどの美人があんなおっさんに魅かれるのかってのは永遠の疑問ですがね。アレクシスモリーC.クインが誘拐された回は助かると分かってはいてもドキドキしました。ライアンシーマスディーヴァーが潜入捜査する回も良かったな。
「アメリカンホラーストーリー」シーズン1、2、3(終了)
シーズン3はいままでの中でダントツ面白かったです。現代に生きる魔女の世界を描いていて実在したマリーラヴォーアンジェラバセットやデルフィーンラローリーキャシーベイツの話を盛り込みつつ非常にうまくできたお話でした。魔女の世界だけに怖ーいオンナたちがたくさん登場するのがめちゃくちゃカッコ良かったです。映像的にはかなりエグい部分も多かったので苦手な人はダメかもしれません。魔女の長であるスプリームをフィオナジェシカラングから引き継ぐのはゾーイタイッサファーミガだと思ったんだけどなー。読みが外れました。ジェシカラングとキャシーベイツがエミー賞を受賞しましたが、アンジェラバセットが一番カッコ良かったので彼女に取って欲しかった。
「ブレイキングバッド」シーズン1、2(途中)
アメリカでの評判がめちゃくちゃ良くてエミー賞総ナメだったので放映を楽しみにしていた作品です。最初はちょっととっつきにくいけど、なんか独特のブラックユーモアで徐々に面白くなっていった感じです。ジェシーピンクマンを演じるアーロンポールはエミー賞の授賞式で見たとき、ピンクマンそのまんまでなんか落ち着きのない雰囲気だったので、あれは演技ではなかったわけ?と思いました。ウォルタージュニアRJ.ミッテが思春期特有の反抗も見せたりはするけど、基本的にはすごく良い子で可愛くて好きです。奥さんスカイラーを演じるアンナガンの演技にたまに圧倒されることがあります。彼女もエミー賞を受賞しました。
「マインドゲーム」シーズン1(途中)
アメリカではたったの5話で打ち切りになったらしいんです。面白いのになぁ。キャストもクリチャンスレーターとスティーブザーンという映画マテリアルを持ってきてるのにね。5話で打ち切りになったけど13話まで撮ってあるからシーズン1の最後までは一応きちんとあるみたいです。このドラマきれいどころが3人も出ているんですよねー。メガリンエキカンウォーク、ジェイミーレイニューマン、キャサリンカニンガムです。男たちがむさ苦しいからきれいどころを集めたんですかね。それでも打ち切りになっちゃったようですが。
「クリミナルマインド〜特命捜査班レッドセル」シーズン1(途中)
「クリミナルマインド」のスピンオフ作品。FBI長官直属の組織で非公式捜査班らしいのですが、、、扱う事件がどうしてこのチームが扱うのか分からない事件ばかり。こんなのいつも普通にBAUが解決してるじゃん。なんか全然特命感がないんだよなぁ。非公式だからFBIのプロトコルを守らなくてもいいらしんだけどさー、そんなの裁判で通用すんのかな?本家からペネロピガルシアカーステンヴァングスネスは出てるんだけどやっぱペネロピはモーガンとのコンビじゃなきゃね。
「プリズンブレイク」シーズン1(終了)
すごく人気のあったシリーズですね。再放送があったので見てみたのですが、あまりワタクシは合いませんでした。主役のウェントワースミラーの演技を好きになれなかったのも一因でした。シーズン2以降は見ません。
ちょっと盛りだくさん過ぎですね。もう少し小出しに紹介するようにします。
ケープタウン
王子様的な印象で人気のあるオーランドブルームの汚れ役ということで興味がありました。
あのオーリーが飲んだくれで女にだらしない刑事役ということで、どーよ?と思っていたのですが、まずそのことに関して言うと、かなりハマっていて違和感ありませんでした。無精ひげでだらしない恰好で目も常に充血しているような感じで、切れたら何しでかすかという雰囲気もありつつ、でも悪い奴じゃないっていう雰囲気をうまく出せていたと思います。酔っ払いの疲れたメイクのせいか高校生の父親というのも変には感じませんでした。くたびれた刑事とはいえ、いままでで一番筋肉隆々だったんじゃないでしょうか。正直ワタクシはいままでオーリーがあんまり好きじゃなかったのですが、この作品の彼がいままで一番好きです。
ケープタウンで若い娘が撲殺されるという事件が起きオーリー扮するブラアンエプキンとアリソケーラ警部フォレストウィティカーが担当する。その娘の体内には麻薬が残っており、ここのところスラムで頻発している子供の失踪事件の現場で残されていたものと同じ麻薬だった。
このアリソケーラ警部という人の過去が映画の冒頭で流れていて、幼少時代父親が目の前で焼き殺されたというトラウマを持っているらしい。そして、その現場から逃げたアリ少年を警察が追い、警察犬に急所を噛まれた上に警官たちに暴行を受け、どうも性的に不能になってしまったようだ。
事件を追ううちに、スラムで失踪している子どもたちは薬物の人体実験に使用されていることが分かり、これは単なる麻薬売買の事件ではなく、もっと大きな組織ぐるみの犯罪であることが分かってくる。
舞台が南アフリカということで、やはりアパルトヘイトが絡むお話なのだけど、黒人で成功しているアリソケーラ警部は、マンデラ氏が提唱したように、白人たちを許し、お互いに融合する社会を作りたいという考えの持ち主であることが同僚たちとの会話から分かる。しかし、その彼を持ってしてもこのスラムの子どもたちの命を実験材料としか考えていない悪党どものことは許せなかったようだ。
結局切れたら怖そうだなと思われるブライアンが最終的には法を守り、この事件の黒幕に手錠をかけたのに、アリソケーラ警部はもう一人の黒幕を追い詰め殺してしまう。このクライマックスがなかなかに皮肉に思えた。
少女殺害事件が過去のアパルトヘイトの亡霊のような黒い組織につながっていくという筋書はうまくできていて楽しめました。おぉ、そんなふうにつながっていくのかと。
ただ、わざわざ冒頭で描かれているアリソケーラ警部の過去と、彼の人となりやこの事件との関連がいまいちちぐはぐな気がして、ソケーラ警部の過去とか性的不能という描写があまり必要のないものに見えたのが残念だったな。彼のじとーーーーっとした雰囲気はとてもよく出ていたしこの作品にマッチしていたとは思うのだけど。
世界の中でもワーストに入る犯罪多発地域のお話なだけに、アメリカのスラムなどを描いた作品よりもまだ一層暴力も過激で不気味な怖さがありました。
南アフリカは様々な言語が公用語として存在しているし、共通語としての英語もアメリカやイギリスの英語とは少し違っていたりして、この映画を英語圏の人たちも字幕なしで見られたのかなぁと余計な心配をしてしまいました。
LUCY/ルーシー
予告編を見て面白そうだなーと思ったので見に行きました。面白そうというか、正直なところ監督がリュックベッソンなので内容にはあまり期待していなかったのですが、スカーレットヨハンソンが超強い女性になりそうな感じだったし、強い女性のアクションが好きなので行ってきました。リュックベッソンは強い女性を描くのがうまいですからね。
がっ!!!感想は、なんじゃこりゃーーーーー???でした。
舞台はなぜか台湾。しょうもないボーイフレンドにはめられてマフィアに謎のカバンを渡すことになったルーシー(スカヨハ)。舞台は台湾だけどなぜかマフィアは韓国人チェミンシク。カバンを渡すだけのはずが気絶させられてお腹の中に謎の薬物を入れられ運び屋にさせられてしまう。その中継地点みたいなところでマフィアの下っ端にお腹を蹴られて薬物の袋が破れ、ルーシーの体内に謎の薬物がどんどん吸収されていく。その薬物は妊婦の体内で赤ちゃんの骨を形成するときに出る物質で、ルーシーの脳はどんどん覚醒していく。
その映像と同時に人間は脳の10パーセントほどしか使っておらず、その使用領域が増えるとどんなことが起こるかということをレクチャーしているノーマン博士モーガンフリーマンの講義が映し出され、観客はその講義の実例としてルーシーの変化を目の当たりにする。
脳をフルに使えるようになると、頭が良くなるとかそういうことじゃなくて、なんと他人を操作したり、物質を動かしたり、電気エネルギーを操作することができたり、時間を行き来したりできるようになるという。ってとこが「?」なんだけど、まぁそれはこの作品の設定だから受け入れるとして…
ルーシーは脳をフルに使えるようになったために、いま自分に起こっていることがなんなのかということも完全に理解し、それによって人間性が失われていくこと、自分の寿命はもう24時間ほどしかもたないことなども理解して行動を起こします。
当然このような危険な薬物を世界中に撒き散らそうとしている組織を潰すこと、それと同時に脳の権威ノーマン博士の存在を探しだし、自分が得た知識を自分が死んでしまうまでに博士に託そうと考えます。
脳をフルに使えるようになったルーシーは他人や物質をコントロールできるので、マフィアが殴りかかろうとしてもルーシーの前に透明の壁があるみたいに殴れないっていうシーンがあるんですが、なんかマフィアたちが滑稽過ぎて、でも笑えるって感じじゃなくてただただカッコ悪いシーンでした。そんなふうになってしまうルーシーなのでアクションらしいアクションはほとんどありませんでした。手をひょいってやるだけで大男が吹っ飛んじゃうし。まだ最初のマフィアから逃走するシーンくらいまではフル活性じゃなかったからカッコ良かったんですけどねー。
そんなルーシーなのに、博士に会いに行ってマフィアが追ってきたときは、マフィアの相手は刑事アムールワケドたちに任せて自分は博士に知識を残すためにパソコンに知識を移すという作業に入ります。映画的にアクションシーンを入れたいから刑事たちvsマフィアっていうシーンを作ったんだろうけど、あんなのルーシーが手でひょいってやれば終わりなのにねー。こっちの作業に集中したいからなんて理由づけは一応あったけど、脳をフルに使ってもそういうマルチタスクはできないってことか。
このルーシーが得た知識を博士に残すっていう一連のシーンが超意味不明。ルーシーが色んな場所や時間に移動して見たことを詰め込んでいるみたいなんだけど、別に生命の謎とかそういうことを解明した感じではなかったしな。最初の人類でルーシーと呼ばれている類人猿に知識を与えたのはこのルーシーっていうことなの?それはそれでもいいけど、結局ルーシーが博士に渡したかった知識って一体なんなのか全然分からなかった。そんなに頭が良いならもっと人類に役立ちそう技術開発とかさ、エコに役立ちそうな先端技術とかさ、そういうのを渡した方がいいんじゃないの?とか、思ってしまって。どうした、リュックベッソン。なんかちょっと哲学的な雰囲気にしたかったのかなぁ。それはあなたの得意分野じゃないから手を出さないほうが良かったんちゃう?って感じ。
とにかく活躍するスカヨハが見たくて見に行ったのに、それが見られなかったのが一番残念だったかな。それなら素直に「アベンジャーズ」見ろってことか。
ガーディアンズオブギャラクシー
アメリカで結構ヒットしたらしいし、ブラッドリークーパーが好きなので見に行って来ました。ブラッドリークーパー、今回は「ハングオーバー!」の時よりもさらに顔のカッコ良さが無駄になってますね。なんせほら、彼アライグマの声の役だから。
幼いころに地球からさらわれたスターロードことピータークイルクリスプラットは、トレジャーハンターのヨンドゥマイケルルーカーに生かされて、彼の組織でトレジャーハンターになっていた。今回の仕事はとあるオーブを入手して売ることだった。途中悪者ロナンリーペイスの手先であるコラスジャイモンフンスーとその仲間に妨害されるがなんとかそれを手に入れて取引場所まで来た。
懸賞金を賭けられたピーターを追うアライグマ型のならず者ロケットとその相棒の植物型宇宙人グルートヴィンディーゼル、オーブを追うガモーラゾーイサルダナとともにノバ軍に捕らえられたピーターたちは4人とも刑務所に入れられる。仕方なく4人で協力し合って脱獄しオーブをコレクターベニチオデルトロのところに持っていくが、そこでそのオーブの持つ強大な力を知った彼らは刑務所で出会いロナンに家族の復讐を誓うドラックスデイヴバウティスタと共に、このオーブをロナンに渡さないための戦いを始めることになる。
主人公のピータークイルが軽い奴でそのキャラクター設定は悪くない。可愛らしいアライグマのロケットが一番口が悪いってのも面白いと思う。植物であるがゆえに"I am Groot."しか話せないグルートも可愛くて良い。ただちょっとなー、セリフがどうも笑わせようとしている感が見え見えなところがありました。いや、笑えるんですけどね。あんまりさりげなくうまい間でという感じじゃなかったな。
ノバ軍の司令官がグレンクローズなもんだから、どうもこの人が黒幕なんじゃないかっていう疑いが拭えなくて最後まで疑い続けてしまった。グレンクローズ、ごめんなさい。
全体的な世界観が、昔のインベーダーゲームみたいな雰囲気で好きだったな。映像はもちろん最新鋭のCGを駆使して作られているのだろうけど、ピーターが地球からさらわれたときに持っていたカセットテープがその年代(70〜80年代)のものなので音楽がノスタルジックなためにそんなふうに感じたのかもしれない。ポッドに乗って逃げ回ったり、クライマックスの大きな戦艦にみんなで立ち向かったりするシーンは自分もその中の一人になったような気がしてとても楽しかった。
なんかどうもピーターは実は100%地球人ではなくて、どこかの星の人が父親だと最後に判明するので、これからその出生の秘密のようなものも続編で暴かれていくのでしょう。最後にグルートが死ななくて本当に良かった。こなごなになってしまって植木鉢に植えられたグルートがとても可愛かったな。
軽〜い気持ちで見るには良い作品だと思います。
4デイズ
ここ数年「〇〇デイズ」という題名の映画が多くて、どれがどれか分からなくなってきています。今回は4日間。
イスラム教に改宗したアメリカ人スティーブンアーサーヤンガーマイケルシーンによって国内3か所に核爆弾が設置され4日以内に爆発する。ヤンガーは自ら当局に捕まったがなかなか要求を言おうとしない。FBI捜査官のヘレンキャリーアンモスらはテロ関係者を逮捕したつもりが、実はその男は尋問のプロHサミュエルL.ジャクソンで、ヤンガーを拷問し爆弾の場所を吐かせる役目を負っていた。
拷問という手法に反対するヘレンだったが、政府はHの拷問に期待していた。Hは拷問の合間にヘレンに尋問をさせ、いわゆるグッドコップ、バッドコップの手法でヤンガーに自白させようとしていた。
Hの実際の拷問のシーンは思うほどエグくはないかな。内容はエグいけど、映像的にはそうでもないです。それよりもHとヤンガー、ヘレンとヤンガー、Hとヘレンの心理戦が結構面白かった。拷問の有効性について信じているか信じていないかという信条の部分もだし、有効性だけではなく人道性の部分でもぶつかりあうHとヘレンのやりとりが面白い。そして、ヤンガーの意図は一体なんなのか?その意図が分かった時のそれぞれの反応も興味深いものだった。
Hはヤンガーに対してもっとも過酷に接している人間でありながら、ヤンガーの中東からのアメリカ軍の撤退要求が出たときには、「奴の言うことはもっともだ。要求を飲んでやればいいじゃないか」と言う。しかし、テロリストとはネゴしないというアメリカ政府の方針は譲れない。まぁそりゃそうだわな。いくらヤンガーの言う事がごもっともだとしても、こんな方法で政府の外交方針を変更するなんて前例を作ったらこの先どんなテロ組織が同じ手法を取って来るか分からない。誰でも暴力に訴えれば政府の方針を変更できるってことになってしまうもんね。
ヤンガーの見せしめのためのプラスチック爆弾がモールで爆発して小さい子供を含むたくさんの人が死んでしまい、ヘレンがそのことについてヤンガーを責めるけれど、ヤンガーはあんなことはイラクでは日常茶飯事だ、お前たちアメリカ人は日々小さい子どもたちを殺しているんだぞと言われてしまう。そうなんだよな…このセリフを言われるとキツイよね。自分の目の前の一人が殺されれば大騒ぎするけれど、よその国でどれだけ多くの小さい子が自国の軍隊に殺されようと自分たちは関係ない。そういう顔して生きているのがいまの私たちなんだもんね。
Hも拷問したくてやっているわけではないのが垣間見えるのは良かった。でも、ヤンガーの奥さんをヤンガーの前で簡単に殺してしまうというシナリオはどうかと思ったなぁ。あれはヤンガーの前でわざとやってみせた芝居で奥さんはちゃんと生きているという設定じゃないと、Hがただ感情に任せて人を殺したことにしかならないよね。あとから生きている奥さんが裏で出てくることを期待していたんだけど、最後まで登場しなかったことを考えるとやっぱり本当に殺してしまったんだよね?
ようやく3つの爆弾の場所をヘレンに教えるヤンガーですが、Hはあまりにも簡単に場所を吐いたヤンガーを疑います。ここまで計算し尽してきた奴のこと、何か裏があるに違いない。ヤンガーの前で子どもを拷問しようとするH。それだけはやめてくれと懇願するヤンガー。Hは3つの爆弾の場所を吐いたということはこいつは4つ目を用意している!と言い子どもを拷問しようとしますが、FBIや軍もHを必死で止めようとしその間にヤンガーは奪った拳銃で自殺してしまいます。大失態。
そして、問題はここからです。ラストシーン。3つの爆弾を解除しに行っているFBI捜査官たちのいるとあるビル。そのビルの別のところに秘かにカウントダウンをしている時限爆弾。3、2、1、0。そこで映画は終わります。
やはりHの読みは正しかった。計算し尽したヤンガーの計画を読んでいたのはHだけだった。そこに甘っちょろい感傷の入るスキはない。
ただこのラストで公開されたのは日本だけらしいです。やはりテロリストの勝利となるラストで欧米で公開するわけにはいかなかったというところでしょうか。でもねぇ、映画としては、あくまでも映画としてはですけれども、このラストのほうが断然面白い、というかこのラストがなければ、なんじゃこの映画?ってなると思うんだよねー。そこまでの心理的な戦いとかHとヘレンのぶつかり合いとかが全部あのラストに集約されていると思う。ある意味このラストで見られたのはラッキーだったかも。
ジャージーボーイズ
試写会に行きました。クリントイーストウッド監督の作品が好きなので見に行くつもりでしたのでラッキーでした。
世代的にザ・フォーシーズンズと言われてもピンとは来ないのですが、「Shelly」「Big Girls Don't Cry」「Can't Take My Eyes Off Of You」(君の瞳に恋してる)と言われれば、あぁーと分かるくらいではある。
今回はブロードウェイミュージカルの映画化ということでイーストウッドとしてはめずらしいけれど、音楽に精通している彼のことだからジャンルとしては得意なものだったのかも。元のミュージカルがそうだからか、イーストウッドにしてはめずらしくくすくすと笑えるシーンが多いのも本作品の見どころと言えそう。
ザ・フォーシーズンズの最初の成り立ちから成功をおさめ栄光を勝ち取り解散し、という長い年月を同じキャストで表現しなければいけないので仕方のないことなんですが、初めフランキージョンロイドヤングが「16歳」と言われたときにはズコーッとなりました。「え?32歳の間違いじゃないの?」と思ったよ。もちろん、それは始めだけでだんだん年相応になっていくわけですが。
フランキーヴァリの実際の歌声ってぱっと頭に浮かばないんですが、ジョンロイドヤングみたいな声だったんでしょうかね…正直言って彼のあの声は、、、なんかへーんな声ーって思ってしまったのですが、、、失礼。ミュージカルのほうも彼が演じているようですし似てるんですかね。あれだけの高音を出せるのはすごいと思うけど、なんかあの鼻にかかったようなヘリウム吸った後のような声はちょっと苦手だった。。。
内容としてはよくあるグループの波乱万丈といいますか、大ヒットを飛ばしていても内情は、、、みたいな話ですね。グループのリーダーでマネージャー的な役割もしていたトミーデヴィートヴィンセントピアッツァが大借金作って仲間に迷惑かけているにも関わらずまったく悪いとも思ってなくて開き直って文句ばっか言ってた姿には一発殴ってやりたい気持ちになりました。その借金を全部自分が歌って返すと言ったフランキーはすごいなぁ。やっぱりその辺がジャージーボーイズたるゆえんなんですかね。メンバーの一人ニックロッシマイケルロメンダはそんなものクソくらえって辞めちゃったけど、心情的にはニックの気持ちが一番よく分かる。
映画ファン的にかなりツボだったのは、最後のメンバー・ボブゴーディオエリックバーゲンを紹介したのが若い頃のジョーペシだったってこと。ジョーペシを演じるジョセフルッソが結構彼の雰囲気を醸し出していて笑えた。あと彼らをバックアップしていたマフィアのジップデカルロクリストファーウォーケンがラストにみんなと一緒に踊るのを見られたのも映画ファン的にはおいしいところでした。
フランキーの娘がドラッグで死んでしまって、その時にボブがフランキーを元気づけようとプロデューサーのボブクリューマイクドイルと一緒に作った曲が「Can't Take My Eyes Off Of You」だったというエピソードに一番感動したのに、それはミュージカル版の創作で本当はこの曲がヒットしたのはフランキーの娘が死ぬずっと前のことだったみたい。それにはちょっとがっかりだったな。
上映時間が長めですが、音楽もたくさん、笑いもあるし飽きることなく見られると思います。でもこれアメリカではコケちゃったらしいんですよねー。古臭い曲のミュージカルだから敬遠されたんでしょうか。日本人は好きそうなお話だと思いますけどねー。特にザ・フォーシーズンズが青春だったという世代にはたまらないかも。
ファーナス〜訣別の朝
公開のずっと前から見に行こうと決めていました。クリスチャンベールが好きだし、ポスターが超カッコ良かったので。
さびれた町で製鉄所で働くラッセル(ベール)には、年老いて病気の父とイラク帰りでぶらぶらしている弟ロドニーケイシーアフレックがいた。恋人リナゾーイサルダナとつつましく暮らしていたラッセルだが、ある日車の事故で相手を死なせてしまう。飲酒運転だったこともあり服役するラッセル。その間にリナは警官のウェズリーバーンズフォレストウィテカーと恋仲になってしまう。
出所してきたラッセルは製鉄所に戻るが、何度目からのイラク出征から戻って来ていたロドニーは製鉄所で働くのをイヤがり、裏稼業をしているジョンペティウィレムデフォーにストリートファイトの元締めハーランデグルートウッディハレルソンを紹介してもらい、八百長試合に出る。その帰り、ペティのラグルートへの借金のいざこざに巻き込まれロドニーはペティとともに殺されてしまう。
デグルートが仕切るエリアは昔から警察でさえ立ち入るのを怖がるくらいの地域で、代々デグルートたちが独自のコミュニティを形成して暮らしていた。警察の捜査はアテにならないと考えたラッセルは自らの手で弟の復讐をしようとする。
アメリカの負の部分のあらゆる部分を見せつけられているような作品。とは言え、さびれた製鉄所、イラク戦争ってのはなんだか「ディアハンター」のころのアメリカを思い出させて、あの頃からあまり変わってないってのも切ない。デグルートがいる地域がアンタッチャブルっていうのは、 「ペーパーボーイ〜真夏の引力」のスワンプの奥と同じようなところなのかな。
クリスチャンベールが予想通り渋い役を演じている。ただ中盤結構ダレる時間が長いな。冒頭、デグルートが女性に暴力を振るい、それを注意した見知らぬ男性のこともぼこぼこにしてデグルートの異常性を見せるんだけど、それ以降はそこまでえげつない暴力というものはない。ストリートファイトは別として。別に暴力描写を期待していたわけではないのですが、デグルートやその地域の人間の怖さというものを強調したわりには最後はあっけなかったな。
兄が弟の復讐をするんだけど、あの弟のイラク帰りの苦悩みたいなものをもっと時間を取って描いて欲しかったし、兄弟の絆ももう少し描いて欲しかった。それでないと、弟はただ無茶するから殺されただけじゃね?みたいな感じになってしまって兄の復讐の重みがあまりなくなってしまう。あれを最後に真面目に働こうとしていた弟、っていうのは切なかったけどね。
途中でクリスチャンベール、ケイシーアフレック、ウィレムデフォー、サムシェパード(兄弟の叔父)が住んでる町ってえらい豪華やなぁと思ってしまった。映画を見ている最中にそんなことを思ってしまうというのはちょっと集中できていなかった証拠かもしれない。
ラッセルの服役中にリナが去ってしまったのも、あれだけラブラブな感じだったのに随分冷たいのねぇって気がした。どれくらい服役していたか分からないけど、そんなに長い感じじゃなかったし、最初っから一回も面会にも来ないってのはどうなのよ?と不思議だった。これももう少し説明が欲しかったところ。
全体の雰囲気的には男臭くて良い作品だとは思うんだけどなー。もうちょっと理不尽なことで弟が殺されたとかだったらもっと共感できたかもしれない。
オマケfurnace(ファーナス)って溶鉱炉のことらしいんだけど、「ふぁーなす」で変換すると「ファー茄子」ってなって笑っちゃいました。
記憶探偵と鍵のかかった少女
アメリカドラマ「アメリカンホラーストーリー」でとても魅力的なタイッサファーミガが出演しているということで見に行くことにしました。予告編も面白そうだったし。
人の記憶に入り込める記憶探偵のジョンマークストロング。奥さんが自殺してしまってからスランプ気味の彼に刑事事件ではなく食べ物を口にしなくなった16歳の少女・アナ(タイッサ)の記憶を探って問題を解決するという仕事が舞い込む。継父の不倫現場を目撃した幼少時、いじめられた学校でのことなどアナの記憶から彼女の問題を探っていく。
アナは非常にIQが高くいわゆる「ギフテッド」というやつでそのせいで普通の世の中に順応できないでいる少女という感じだったが、彼女の過去のファイルを見ると寮のルームメイトたちの殺人未遂事件や教師の淫行事件など怪しい事件が彼女の周辺では起きていた。
設定もキャストもとっても魅力的なんですがねぇ、、、ちょっと期待し過ぎたかな。監督がホルヘドラドというスペインの人らしいのですが、スペインというとアレハンドロアメナバル監督を思い出して、あぁちょっと似ているなぁと勝手に思ってしまった。
16歳の魅力的な少女にほんろうされるおじさんという図は、映画としてとてもよくあるよねぇ。一種のおじさんの願望が入っているからなのか。今回その魅力的な少女が最近超注目しているタイッサファーミガということでかなり期待していたんだけど、あまり彼女の魅力が出し切れていなかったような気がする。彼女のせいで出し切れていないというよりも演出の悪さのせいではないかなと思うのはワタクシのひいき目のせいでしょうか。
彼女は本当はサイコパスなんかじゃなくて、本当に本当のことを言っているだけじゃないのか?なぁんて一瞬でもくらっと信じてしまいそうってな部分が全然なかったんだよなー。それはやはり監督の責任だと思う。
なんかよく分からんけど、そもそもアナの両親からの依頼でアナに食べさせてくれってことだったわけで、それに関してはなんとまぁあっさりとクリアしちゃうのよね。。。え?じゃあもういいじゃーん、みたいな。アナを施設に入れたい継父に食べ物に幻覚剤か何かを入れられて狂人扱いされて施設に送り込まれるというアナの心配もすぐに分かったのに、それに対する対策は何もせずにずーーーっとアナの記憶をたどる作業をしていたのもよく分からなかった。アナの母親はアナを虐待していたとか、継父は不倫現場を見られたとかそういう過去があるくせによく記憶探偵なんかに依頼したよね。そういうの全部見られるのにぁな。
それとあの「マウシー」ってあだ名の女の子のことは一体なんだったの?アナが言ってたマウシーって子とは別の女の子がマウシーっていうあだ名だったことが分かったけど、それが何?他の生徒たちは「マウシーなんて子はいなかった」なんて言っていたけど、マウシーってあだ名の子は実際にいたわけで、他の子たちが誰一人マウシーを知らないってのも変な話だ。アナが書いていたにこちゃんマークにもジョンは最後になって初めて気付いていたけど、あんなの速攻で気付くでしょー。
結局のところジョンがのぞいたアナの記憶はどこまでが真実でどこからが嘘だったのかということが分からないまま終わってしまったのが残念だった。アナがジョンの記憶を探る手法を逆手にとって利用したというのは分かるけど、結局アナはただのサイコパスでしたーっていう終わりだとちょっとしょーもないな。もっと彼女の過去に何か衝撃的なものが隠されていると期待したのだけどな。見ている最中は全然飽きずに見られたのでそれに関しては良かったですが。
藁の盾
ケーブルテレビで見ました。日本映画は詳しくないので全然予備知識なしで見ました。大沢たかおが好きというのもあって。
幼い少女が撲殺され遺棄されるという事件が起き、同じ手口で事件を起こし保釈されたばかりの清丸国秀藤原竜也が指名手配される。被害者の祖父であり資産家の蜷川隆興山崎努は清丸を殺した者に10億円の報酬を払うと新聞広告を出す。清丸は身の危険を感じ福岡署に自ら出頭。SPの銘刈(大沢たかお)、白岩松嶋奈々子は警視庁捜査一課の奥村岸谷五郎、神箸永山絢斗、福岡県警の関谷伊武雅刀らと5人で福岡から東京まで清丸を護送することになる。
蜷川がものすごい資産家でっていうなら、あんな広告ださないでももっとこっそり誰かに依頼したほうが確実に清丸を殺せた気はするんだよなぁ。あんなに警察官まで抱き込めるなら、内部の人間にこっそり頼んだほうが、あんな大々的に護衛がつかなくて済むわけだし、、、とか思うところは多々あるのですが、まずこの設定は設定として受け入れるとしましょう。それができるかどうかでこの作品の評価は大きく変わってくると思います。ワタクシはとりあえず受け入れました。
この設定さえ受け入れてしまえば、結構面白い作品だと思います。1億人が敵みたいな中で護送しなければいけない5人の刑事たち。機動隊の中にも清丸を襲うものが出てくるし、清丸の居場所をどんなに工作してもネット上にばれている。この中のスパイは誰だと疑心暗鬼にもなる。一方で、幼い少女を無残な形で殺害した清丸という男の命を守る必要がどこにあるのかという葛藤もある。清丸を殺すことはできなくとも殺そうとしただけで未遂に終わっても1億円がもらえるらしく、敵は増える一方だ。
大沢たかおがいつものひょろっとした印象では全然なくて、さすがに角刈りまではいかないけど、いつものモデル風の髪型ではなくて実際に刑事さんや普通の中年のサラリーマンがしていそうな髪型にしていて、中堅どころの刑事という役柄にうまくなりきっていた。警視庁捜査一課とは言えあんなに若い神箸が年上の刑事にあんな口の利き方が許されるもんかいなぁと疑問があったんだけど、永山絢斗の憎ったらしい演技は見ていて本気で腹が立ったから上手だってことだろう。藤原竜也はあいかわらずの大げさ演技だったけど、今回はそれが清丸の気持ち悪さを増幅させていて良かったと思う。
途中、清丸の過去の被害者の父親高橋和也が清丸を殺そうとする場面で、白岩が「誰かが清丸を殺すなら彼が一番ふさわしい」と言うところは確かにそうだよなと思ってしまうのだけど、それでもやはり銘苅は任務をまっとうするほうを選ぶ。白岩にしてみても清丸を殺せば10億入ると銘苅に言われても「蜷川の誤算でしたね。お金が入らないなら殺したのに」と言うところは結構かっこよかったな。
白岩が清丸に殺されたのはすごく腹が立ったな。白岩は優秀なSPなのに油断し過ぎだよ。まぁそれでこそ、銘苅の怒りが倍増して最後の対決につながるわけだけどね。あの最後の大沢たかお鬼気迫る演技はすごく良かったなぁ。それまでもいつもよりかなり太い声を出して銘苅という刑事になりきっていたけど、あのシーンでは清丸や、自分の妻をひき殺した飲酒運転の犯人への怒りや悲しみややるせなさが全部出ていてすごく良かった。
あとから漫画「ビーバップハイスクール」の作者木内一裕が書いた小説が原作というのを知って驚きました。それでちょっとくさいセリフが多いのかなと思ったり、、、そこまでめちゃくちゃ変ってことはなかったけど、ちょこっと引っかかるセリフはありました。最後の「国家に威信にかけて(銘苅の)命を救ってくれ」なんて警察のエライさんが救急隊員に言うところは一番ぷぷっとしてしまいました。
死刑宣告を受けた清丸が「後悔、反省しています。どうせ死刑になるならもっとやっとけば良かった」というセリフがあります。このセリフは、もしただ衝撃の一言を狙っただけだったとしたらがっかりですけど、ワタクシはやっぱり考えさせられました。確かにそういう考え方ってあると思うんですよね。だからこそ、死刑はやはり抑止力にはなりえないんだろうなと思います。といって死刑廃止論者になれないどこか割り切れない思いがワタクシの中にはあるのですが。
ネットのレビューを見ると良い評価と悪い評価に極端に二分されている感じですね。ばっかばかしい〜と思ってしまった人には面白くない作品だろうなぁとは思うし、そう思う人がいるだろうなというのは理解できます。ワタクシは楽しんで見ることができました。
ボディハント
ケーブルテレビで見ました。いまのっているジェニファーローレンス主演のスリラーです。ちょっとチープそうなスリラーだから売れる前に出演したのかなと思いきや2012年の作品ですからそうでもないですね。
両親が離婚し母親エリザベスシューとともに森に囲まれた一軒家に越してきたエリッサ(ローレンス)隣の家(と言ってもアメリカの郊外なのでそこそこ離れている)で4年前に娘キャリーアンが両親を殺害するという事件が起きており、いまはそこに残された息子ライアンマックスシエリットが一人で暮らしている。両親を殺害した娘は森の中でひそかに生きているなどという都市伝説があり、その事件のせいで周辺の土地価格が下がったことなどもあり、ライアンは近所の人たちから避けられていた。
しかし、雨の日に一人で歩いて帰っているところをライアンに車で送ってもらったエリッサは徐々にライアンと親しくなり、彼の人柄を知るにつけ、彼がみなから誤解を受けていると感じるようになる。エリッサの母親はライアンを警戒し、2人きりで会わないようにと言うが若い2人は恋に落ちて行った。
観客にはライアンが地下室で妹キャリーアンの世話をしている様子が見せられる。精神的に障害をかかえている妹をかいがいしく世話するライアン。キャリーアンは時々発作のようなものを起こし何か凶器を持って暴れたり、隣家に走って行こうとするが、ライアンはすべて一人でそういった問題に対処してきたようだ。
このライアンを演じるマックスシエリオットくんが可愛らしくて、物静かなライアンにぴったりでやはりこちらとしてはライアンに同情しながら見てしまった。もちろん、途中で何かがおかしいな〜とは思ったけど、そういうオチだと気付くのにちょっと時間がかかった。
エリッサがライアンの家族写真を見せてもらったときに「キャリーアンはきれいなブルーの瞳をしていたのね」って言っていたのが、ちゃんと伏線になっていたとはまったく思いもしなかった。ライアンがエリッサに説明していた、キャリーアンは幼い時ライアンとブランコに乗っていたときにライアンが手を掴み損ねてブランコから落ち、それからキャリーアンがおかしくなり最後には両親を殺してしまったという話にもライアンの解釈とは違うきちんとした説明が最後にされることになってそれにも納得した。
つまり、、、忘備録的にオチを書くことにしますが、ライアンはキャリーアンの面倒を見ているという妄想のため、年頃の女の子をさらってきてはキャリーアンとして地下室に監禁し面倒を見ていた。途中のシーンでキャリーアンが凶器を持って暴れたり隣の家まで走って行ったりしていたのはさらわれた女の子がライアンから逃げるためだった。女の子たちはキャリーアンに似せるためライアンからブルーのコンタクトレンズをつけさせられていた。それと女子大生のIDを発見したエリッサは真相に気付き、今度は自分が監禁されてしまう。
もちろん、主人公エリッサは危機一髪のところでライアンを倒し、ライアンは逮捕される。精神病院に収容されたライアンに実際の記憶がよみがえる。ブランコの事故でキャリーアンはおかしくなったのではなく、実際にはブランコから落ちて死亡していた。その責任をライアンに負わせた両親はライアンの人格を認めず、彼をキャリーアンと呼びキャリーアンとして育てるという虐待を続けついにライアンは両親を殺害してしまった。
この最後のライアンの生い立ちの真相が語られたことによって、スリラーとしての面白味が増したと言えると思います。既視感は当然ありますが、この手のパターンはそんなに数多くないので仕方ないかな。この最後のシーンがなければふーんで終わっていたと思うけど、ライアンの生い立ちがあってなかなかに興味深いスリラーになれたと思います。
フランキー&アリス
ゴールデングローブ主演女優賞にハルベリーがノミネートされたということで興味があり見に行きました。
1970年代のアメリカ。ストリッパーのフランキー(ベリー)は時折自分では覚えていないことを周囲からはやったと言われることがあり戸惑いを覚えることがあったが、普通に日常生活を送っていた。ある日、デートした男性の前で豹変し相手にケガを負わせてしまう。また別の場所で問題を起こした彼女は、警察に捕まり刑務所に行くのを逃れるため病院で診察を受けることにする。
彼女の担当となったサイコセラピストのオズワルド医師ステランスカルスガルドは、フランキーを診察するうち彼女の中に別の人格が存在することを発見し、解離性同一性障害と診断する。
オズワルド医師はフランキーを診察する中で、彼女の中にいるアリスという人格と名前を言わない幼い少女(IQが非常に高いため医師は“天才”と名付ける)と話すことができるようになる。“天才”ちゃんはフランキーをかばおうとする人格だけど、アリスのほうにはどうもフランキーに対して敵意があるようだった。フランキーとセッションを続ける中で驚くべきことにアリスの人格は白人であり、しかも南部出身の人種差別主義者の白人であることが分かる。しかもアリスはフランキーという人格を消滅させて彼女の体を乗っ取ろうとしているようだった。
ストーリーとしては特別山あり谷ありという感じでもないし、フランキーに何かとてもひどい出来事が降りかかるのではないかと思ってドキドキしていたのだけど、そういうこともあまりなく、オズワルド医師との関係も途中ちょっとした誤解があったもののおおむね良好でテーマのわりに穏やかな時間が流れていくのだけど、その中で少しずつフランキーがこの病気(病気と呼んでいいものかどうかちょっとはっきりしないのですが)になった原因が紐解かれていき、どうしてアリスという差別主義の白人が別人格として作り出されたのかというのが語られていく過程は興味深いものでした。
最終的にフランキーの身に何が起こったのかということもきちんと明かされるので、見終わってもやっとすることはなかったのですが、一点だけ、あの母親フィリシアラシャドとの関係というものをもう少し掘り下げて欲しかった気もしました。フランキーは母親から贔屓されていて妹マキシンチャンドラウィルソンはないがしろにされている風だったけど、どうして母親がそんな態度なのかを知りたかったし、あの少しゆがんだ親子関係というものもフランキーの症状の遠因であったのかどうかというのも知りたいところでした。母親がしたことはもちろん直接の原因ではありますが、そこではなく普段からの関係もなにかしら影響を与えたのかどうかが知りたかったです。
ハルベリーは「チョコレート」という作品でアカデミー賞主演女優賞を受賞していますが、この作品の演技もとても素晴らしかったと思います。解離性同一性障害で有名なビリーミリガンのドキュメンタリーを見ているように、人格が変わった時の目つきの変化などが素晴らしかったし、アリスになっているときなどは本当に南部の上流階級の白人のような話し方をしていました。全体の雰囲気もなんとなく変わるので話し始める前からどの人格か分かったというのは彼女の演技がそれだけ素晴らしかったということだと思います。
ステランスカルスガルドもちょっとドンくさいけど、優しくて頭の良いオズワルド医師をとてもうまく演じていたと思います。彼ってすごく怖い役もできるし、こういう優しくて知的な役もできるのがすごいですね。
先に書いたように特筆すべきほどのストーリーって感じではないのですが、それでも良い映画だと思えるのはやはりこの2人の演技あってこそかな。ストーリーとは関係ないですが、70年代ということでハルベリーの衣装も素敵なものが多かったです。
最後に本物のフランキーがその後どういう人生を送ったかということがテロップで流れるのですが、解離性同一性障害に苦しみながらも、それと共に生き、幸せな人生を送られたようで安心しました。
オマケハルベリーは英語の発音ではどう聞いても「ハリーベリー」って言われていると思うのですが、日本語での一般的な表記がハルベリーなので合わせておきます。
荒野はつらいよ~アリゾナより愛をこめて
「テッド」のセスマクファーレンがまたもや監督兼主演、アマンダサイフリッドが出演するっていうんでずっと前から楽しみにしていました。
「テッド」をご覧になった方ならばお分かりになると思いますが、この作品ももうしょっぱなから下ネタオンパレード。セックス系の下ネタから排泄物系の下ネタ、人が死ぬ系やら人種差別系のブラックジョークともうこれいつもの「R-生真面目さん」ってやつです。
舞台は1882年のアリゾナ。西部劇の舞台となるような時代と場所。荒くれ者が町を牛耳る時代に生きるヘタレ男アルバート(マクファーレン)という羊飼いが主役。彼にはルイーズ(アマンダ)という美人の恋人がいたもののあまりのアルバートのヘタレっぷりに町の商売人で金持ちのフォイニールパトリックハリスに彼女を取られてしまう。
そんなある日、町に引っ越してきた謎の美女アナシャーリーズセロンと友達になったアルバートは、アナの薦めでルイーズにアナと一緒にいるところを見せ付ける。成行き上アルバートはルイーズを賭けてフォイと決闘をすることになってしまう。ヘタレなアルバートに銃など撃てるわけはなかったが、なぜか銃の腕が抜群のアナに特訓を受けることになる。特訓をするうちアナとアルバートの距離は縮まって行くが、実はアナには重大な秘密があり…
とまあ、一応ストーリーはちゃんとあるんですけど、とりあえず会話のすべてに下ネタが何かしら挟まれていて笑うのに忙しい。アルバートの親友エドワードジョヴァンニリビシは娼婦のルースサラシルバーマンと恋人で、彼女は一日十数人の客を取っているのにエドワードとはお互いにカトリックだから結婚まで性交渉は持たないとか言っちゃってて、娼婦ルースの客との会話とかその説明とかもうえげつないほどの下ネタだし、そういうセックス系の下ネタだけじゃなくて、この西部開拓時代は現代とは違って些細なことで人が死んだという話があって、本当にくだらないことで人がばかばか死んでいく様子を見せたりというブラックジョークも多い。元々原題が「A Million Ways To Die in the West」で「西部で死ぬ100万の方法」って意味だからそれを紹介していく作品みたいな側面もある。
そして何と言ってもバカ受けしたのが「バックトゥザフューチャー」のドククリストファーロイドが登場したシーン。そうそう!「バックトゥザフューチャー3」の舞台は西部開拓時代だったよなー。そのシーンのBGMがしっかり「バックトゥザフューチャー」だったのも嬉しかった。アルバートがネイティブアメリカンの部族と交流するところは「ダンスウィズウルブズ」のパロディだったのかなぁ?最後のジェイミーフォックスの登場は「ジャンゴ~繋がれざる者」ですね。あと、アメリカドラマ「ママと恋に落ちるまで」のニールパトリックスミスの"Chanllenge accepted."という決めゼリフを彼に言わせたのも絶対わざとですね。日本であのドラマを見ている人がどれくらいいるか分からないけど。カメオ出演者の中にユアンマクレガー、パトリックスチュワートって書いてあるんだけど、どこに出てきたか見つけられなかったな。多分ライアンレイノルズくらい一瞬だったんでしょう。DVDが出たらチェックしなくては。
アナが実は西部のお尋ね者クリンチリーアムニースンの妻だったということが分かり、アルバートは大ピンチに陥るのですが、アナもアルバートに恋をしておりクリンチをやっつけてアルバートの元に帰って来ます。アナがクリンチをやっつけたシーンがこれまた大笑い。アナを襲おうとズボンを脱いだクリンチに一撃をかましてノックダウン。アナはなぜかその裸のお尻にお花を刺して逃亡するのですが、あのお尻、本当にリーアムニースンのお尻だったのかなーって後半はそればかり気になってしまいました。
アマンダ目当てで見に行ったのですが、アマンダの出演時間はめちゃくちゃ短くて、あまり良い役でもなかったのはちょっと残念だったけど、彼女はユーモアのセンスがある人だから「ギョロ目」とか言われても多分ノリノリで撮影してたんだろうなぁと思います。今回アマンダの可愛さよりシャーリースセロンの美しさがものすごく目立っていました。彼女はもちろん素が美しいのだけど、わざと汚れ役を選ぶ傾向があるので素直にキレイなぁ~って思えたのは久しぶりだった。こういうスタイルが個人的に好きなせいもあると思うのだけど、アマンダの貴婦人スタイルとは対照的なカウガールスタイルにロングのブロンドヘアがすごくキレイだったなぁ。
本当にえげつない下ネタもあるので、こういうの好きな人には超オススメいたします。
イコライザー
試写会に行ってきました。予告編を見て面白そうだなぁと思っていたのでラッキーでした。
ホームセンターに勤務するロバートマッコールデンゼルワシントンは夜になると亡くなった妻が読んでいた本を抱えていつものカフェに向かう。そこにはテリー(本名アリーナ)クロエグレースモレッツという名の娼婦がいつも仕事前に来ていた。まだ幼い少女なのにロシアのマフィアに娼婦として働かされているアリーナと親しくなるロバート。ある日、殴ってきた客を殴り返したアリーナはボスのスラヴィらにぼこぼこにされ入院してしまう。
昼間はホームセンターで働いているロバートは、実は元CIAの凄腕エージェントで、彼は単身スラヴィの事務所に乗り込んで9800ドルでアリーナを引き取ると言うのだが、当然スラヴィはそれを許さない。事務所にいた5人を瞬殺でやっつけるロバート。その間19秒。
ひゃー、カッコ良かったよー。この時のデンゼルワシントン。デンゼルはそもそもカッコいいけど、今回どストレートにカッコ良い役でしたね。特にこのスラヴィたちをやっつけるシーンが一番カッコ良かった。
ロシアンマフィアを一気に5人も殺害してしまったことで、大ボスはテディマートンソーカスという奴を調査に寄越す。このテディという男がハンパなく危ない奴で、超暴力的なサイコパスでありながら頭も切れるという恐ろしい存在。ロバートがCIAのファイルで調べてもらった結果「名刺を持ったサイコパス」と言われていて、それが非常に当たっていてうまい言い方だと思った。
このテディの執拗な調査の手が徐々にロバートに伸びてくる。しかし、ロバートも只者ではない。常にテディの一歩先を考え速やかに行動する。しかし、こちらはたった一人。ロバートがどのようにしてこの危機を乗り越えるのか、非常に緊張感を持って見ることができる。
ロバートマッコールという男の人物像や彼の人生は詳しく語られることはないのだけど、ホームセンターでの他の従業員たちとの様子や、普段のストイックな生活を垣間見せることで彼がどんな人生を送ってきたどんな人物なのかということをうまく観客に見せている。後半になるにつれ、緊張の場面ばかりになっていくが、それまでは少しユーモアを感じるシーンなどもあり好感が持てる。
ただ予告編を見る限りでは、彼が世の不正をどんどん陰で正していくという雰囲気があったのですが、他の事件も多少あるものの、ほぼこのロシアンマフィアとの対決に絞られている感じです。売り文句の19秒ってのもあんまり出ては来ないですしね。
テディ一味との対決シーンで彼が勤務しているホームセンターが舞台となり、ロバートはそこにあるDIYの道具などをうまく利用してマシンガンに対抗します。あんなに派手にぶっ壊してしまって、しかも壊しただけじゃなくて悪い奴らとは言え人があんなにいっぱいエグい方法で死んでしまって、あの店営業再開できるのかしら?とつまらん心配をしてしまいました。
「記憶探偵と鍵のかかった少女」のところでも書きましたが、おじさんと少女っていう定番の組み合わせで、少女のほうに演技力が求められるってのもまた定番で。そのあたりはクロエは若手ナンバーワンの演技力と言われていますから問題ないでしょう。
演技力と言えばほんの少ししか出てこないのですが、ロバートが力を借りる大物としてメリッサレオが登場するのですが、彼女って本当にものすごいビッチからこういう官僚系までこなせてしまう幅の広い女優さんですね。
今回デンゼルワシントンのカッコ良さで中盤のスローテンポな部分をカバーしたといった感じでした。最後の最後に大ボスと対決する時も最強にカッコ良かった。上映時間132分なんですよね。これはもうちょっとテンポよくして短くしてくれても良かったかなとは思います。
グレースオブモナコ~公妃の切り札
始めはあまり興味がなかったのですが、予告編を見たら面白そうだったので見に行くことにしました。
これは実話をベースにしたフィクションということらしく、モナコ王室はこの作品を認めていないのだとか。どこまでが実話でどこからがフィクションなのかというのが分からないのがちょっともどかしいところなのだけど、この映画を見た限りの感想を書きます。
ハリウッドを去り、モナコ公妃となって6年。モナコの公用語であるフランス語をうまく話せず、王室の堅苦しい礼儀作法に慣れず、貴族階級から認められず、夫レーニエ公ティムロスは忙しすぎてすれ違いの生活を送り焦燥感の募るグレースケリーニコールキッドマンの元にヒッチコックロジャーアシュトングリフィスがやって来て新作「マーニー」の出演依頼をしてくる。ハリウッドへの復帰を願うグレースケリーだったが、モナコはフランスから属国扱いを受け国家存亡の危機に陥っていた。
ハリウッド女優がモナコ大公に見初められて結婚しお妃になったというお話は劇中でも何度も語られるように、まさにおとぎ話のようで、子供も早々に生まれ大公に愛されて順風満帆の人生を送ったのかと思いきや、この作品の中では、歯に衣着せぬ物言いをするアメリカ人として、王室の社交の場では疎まれ、どこの馬の骨とも分からないアメリカ人風情がと貴族たちには慕われず孤立した生活を送っていた様子が語られていて意外な気がした。
レーニエ公、グレースケリーを囲む人たちとしてオナシスロバートリンゼイ、マリアカラスパスベガなども登場してそういうのを見ているだけでも楽しい面がありました。ただレーニエ公、グレースケリーともに慕っていたようだったタッカー神父フランクランジェラという人が一体どんな存在の人だったのかいまいち分からなかった。アメリカに途中で帰っちゃった事情もよく分からなかった。
ハリウッド女優からモナコ大公妃となったグレースケリーのことは知らない人はいないわけで、好き嫌いは別として正統派美人という意味で言えばいまだに彼女の右に出る者はいないと言っても過言ではないと思う。そんな彼女を現代のハリウッドで演じるとしたら、確かにニコールキッドマンしかいなかったかもしれないな。そのニコールの女優魂が劇中のグレースケリーのモナコ公妃を演じきるという女優魂と重なってまさにニコールのワンマンショーのような作品だった。横に写真を並べれば似ていない2人なんだろうけど、オリヴィエダアン監督がうまく似ているように見えるカメラアングルを選んで映していたように思う。
ニコールキッドマンはちょっとお直しし過ぎ感があって、顔も引っ張り過ぎだなぁと思うのだけど、それでもやはりすらりと伸びた脚や全体的に醸し出す雰囲気などはとても美しく寝起きにさらっとシルクのガウンを羽織って小走りに廊下を行く後姿なんてもう、あなたそれ着て生まれてきたでしょ?っていうほどの神々しさ。それ以外にも公妃として当然とても華やかな衣装の数々が披露されるわけでニコールがそのすべてを見事に着こなしているのがもうため息ものでした。ただもうしわ伸ばしに関しては今が本当に限界だと思う。今でもかなり顔の筋肉が動いていないからこれ以上やると本当に女優として致命的になってしまう。
舞踏会のシーンでマリアカラスの歌が聞けて、とても心地よい気分になっていたらエンドロールの曲がなんか映画の世界観とは全然合っていなくてびっくりしました。あの曲が悪いというのではなくて作品とは合っていないと感じました。
カンヌでも評判は良くなかったらしいですが、日本人好みの作品ではないかなぁと感じました。
海外ドラマ ヒロインファイル その5
ひさしぶりにヒロインファイルやります。
ヒロインファイルNo.021 エミリーウィッカーシャム as エレノアビショップ@「NCIS」
キリッと眉度★★★★★
ジヴァが8~9年ほどの長きに渡ってチーム唯一の女性メンバーを務めてきてその後を引き継ぐというのはかなりのプレッシャーだったと思うのですが、ワタクシはジヴァがそこまでお気に入りキャラじゃなかったこともあってか、ビショップになって全然違和感ありません。というかむしろ面白いかなぁ。ちょっと風変わりなキャラだし。若いけど結婚していることもあって今度はトニーとどうのこうのっていうまどろっこしいこともなさそう。これから彼女にはどんどん活躍してほしいです。
ヒロインファイルNo.022 タイッサファーミガ as ゾーイベンソン@「アメリカンホラーストーリー」
ナチュラル美人度★★★★★
ヴェラファーミガの歳の離れた妹タイッサ。素朴な顔立ちでありながら、その中に意志の強さを秘めていて「アメリカンホラーストーリー」という恐ろしい世界を生き延びるキャラクターにぴったりです。演技もこの年齢にしてはうまいと思いますが、これからまだまだ伸びしろがあると思います。
ヒロインファイルNo.023 エマロバーツ as マディソンモンゴメリー@「アメリカンホラーストーリー」
わがまま美女度★★★★★
彼女はジュリアロバーツの姪っ子。大きな口が似ているかもしれませんが、彼女のほうが正当派美人かも。ドラマではかなりのビッチを演じていました。ハロウィンにおばさんの当たり役である「プリティウーマン」の仮装をするなどユーモアのセンスがあるようです。
ヒロインファイルNo.024 レシュマシェティ as ディヴィアカダイ@「ロイヤルペインズ」
脚長度★★★★★
顔ももちろん美人さんなんですが、手脚の長さに毎回びっくりさせられます。「ロイヤルペインズ」ではコンサバ風セクシー衣装が多いかな。それがとてもよく似合っています。オペラの学位を持っているそうでミュージカルにも出演しているらしいのでいつかその歌声を聞けるといいなぁ。
ヒロインファイルNo.025 ケイリークオコ as ペニー@「ビッグバンセオリー」
好感度★★★★★
以前に「ビッグバンセオリー」を取り上げたときに書いたのですが、こちらでは取り上げていなかったので挙げます。ペニーはねぇ、肉感的で健康的でユーモアのセンスがあって、お勉強はできないけど英語で言うところの“ストリートスマート”ってやつかな。突っ込みも鋭いけど心の底には優しさを持っている魅力的な女の子です。演じるケイリークオコも勝手にそんなイメージになっちゃってますが。SNSなどで旦那さんとラブラブの写真をアップしたりして可愛らしいです。