「アーロと少年」は見に行きたかったのですが、吹替え版しか公開されていなかったのであきらめました。この「ズートピア」ももしかして字幕版ないのかなぁと思っていたら、今回はあったので行ってきました。
いつもディズニー映画を楽しみにしているワタクシですが、今回は動物たちのお話で主役がウサギ、と聞いてさすがにこれって子供向け過ぎる内容じゃないの~?と思っていたので字幕版が用意されていたことが意外で、お、これは逆に期待できるかも?と思いました。
すべての動物が進化し、野生ではなくなり文明社会に住む世界。ズートピアと呼ばれる大都市でウサギ初の警察官になる夢を叶えたジュディホップスジニファーグッドウィンは希望を胸にズートピアに上京するが、“小さくて可愛い”ジュディに与えられた仕事は交通違反の切符切りでガッカリ。それでもジュディは切符切りの記録を作る意気込みで仕事に打ち込んだ。
そのころ、ズートピアでは原因不明の連続拉致事件が起きており、その被害者の妻オッタートン夫人(かわうそ)オクタヴィアスペンサーに勝手に彼女の夫を見つけることを約束してしまったジュディに、チーフのボゴ(水牛)イドリスエルバはジュディに2日だけ与え、見つからなければ警察を辞めろと言う。
切符を切っているときに知り合った詐欺師のニックワイルド(キツネ)ジェイソンベイトマンを他の容疑で逮捕しない代わりに捜査を手伝ってもらうことにしたジュディ。この2匹のコンビが事件の解決に駆けまわる。
まず色んな動物が共存するズートピアの設定が興味深い。この辺りはもうディズニーの真骨頂と言えると思うけど、それぞれの動物の特性をものすごくうまく活かして擬人化している。彼らは本当に人間のように暮らしていて服も普通に来ているのだけど、なぜか靴を履いていない。文明社会なのに靴履いてないなーと思っていたら、足のアップだけでどの動物か分かるようにわざと靴は履かせなかったんだって。さすが。
ジュディとニックの捜査は、本当に普通の犯罪ドラマ並み。でもその中にちょこちょこ笑えるシーンを挟んでくるのもうまい。中でも傑作は最速のフラッシュ(ナマケモノ)レイモンドS.パーシ。ディズニー史上ベスト3に入る名脇役キャラクターと言っても過言ではないと思います。とある車のナンバーから持ち主を割り出すためにジュディとニックが行くのが陸運局なんだけど、そこの窓口の係がなんと全員ナマケモノ。(これってアメリカの陸運局の仕事の遅さを皮肉ってるのかな。まぁどこの国も「お役所仕事」っていうのがあるんでしょうね)ジュディ、ニックと最速のフラッシュの掛け合いがもう最高。何度でも見たくなる。ディズニーだめな人にでもこのシーンだけでもいいから見てほしいくらい。“最速の”というあだ名が皮肉でつけられたものではなく本当に“最速”だというのが映画の最後にちゃんと出てきます。
最近のディズニーやピクサーは色んな映画のパロディを挟んでくることが多い。今回はジュディが警察官ということで「ポリスアカデミー」っぽいシーンがあるし、捜査に協力してくれるマフィアのドン・ミスタービッグはもちろん「ゴッドファーザー」のドンコルレオーネ。そんなドンが小さな小さなネズミっていうのもなんだか面白い。
まさかのパロディだったのが「ブレイキングバッド」あんなヤバいドラマのパロディを一応は子供向けのアニメ映画にぶっこんでくるなんて!これ製作者の間でも賛否あったのかなぁ。まぁ、子供には分からんから完全に大人向けのシーンなんだけど、ジュディとニックが捜査で踏み込んだドラッグ精製所。ここが「ブレイキングバッド」のキャンピングカー内のブルーメス精製所にそっくり。こちらのドラッグもブルーだし、精製している奴のつなぎも黄色。訪ねてきたのは“ウォルターとジェシー”名前なんかいらないような雑魚キャラなのにわざわざ「ウォルターとジェシーが来たぜ」と言わせている。あー、「ブレイキングバッド」見てて良かったーと思いました。劇場でもウケている人がちらほらいて「お。ブレイキングバッド見てた人だねー」と思いました。
他にも「手」は「前足」だったり、ジェントルマンがジェントルママル(哺乳類)だったり、ジュディの持っているスマホのマークがりんごじゃなくてにんじんだったりと細かいところまで楽しい仕掛けがいっぱい。一度見ただけではまだまだ気付かなかったことがいっぱいありそう。
このズートピアは完全に実際の人間社会とリンクしていて、そこにある差別、不寛容さ、それによる衝突をどう解決していくかというのが、この物語の大きなテーマになっている。でも小難しいことだけではなくて、夢を持つこと、あきらめないこと、種を越えた友情なども語られて子供たちももちろん楽しめるようになっています。夢をあきらめないジュディにぴったりなテーマソング「Try Everything」を歌うのがズートピアのディーバ・ガゼルシャキーラ。ディーバだからビヨンセかなと思ったらシャキーラでした。シャキーラの伸びやかな歌声がズートピアの世界観にぴったりです。さっそくiTunesでダウンロードしました。スペイン語バージョンもシャキーラが歌っています。そっちも欲しいのだけど日本のiTunesでは売ってない。残念。
最近シリーズ化されることの多いディズニー作品。「ズートピア」もジュディ、ニックの警官コンビで続編が作られそうな気がしますね~。
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ズートピア
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