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Channel: シネマ日記
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大統領の料理人

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フランスのミッテラン大統領の専属料理人だった女性のお話。初日のせいか小さい映画館だけど立ち見が出るほど盛況でビックリしました。浜村淳が取り上げたか???

田舎で料理学校とレストランをしていたオルタンスカトリーヌフロのもとに政府から迎えが来る。超有名シェフ・ジョエルロブションの推薦でミッテラン大統領ジャンドルメッソンの専属シェフとしてエリゼ宮で勤めることになった。豪華絢爛なエリゼ宮の料理にうんざりしていた大統領はフランスの伝統料理を作れるシェフを希望していた。

物語は初めなぜか南極探査隊のところから始まる。なんだこりゃ?と思っているとそこで南極料理人をしているのがオルタンスだった。オルタンスは大統領専属シェフを辞めた後南極料理人となっており、いま現在の南極での様子とエリゼ宮での様子が交互に語られる形式になっている。

エリゼ宮には伝統のしきたりがあり、主厨房は完全に男社会でオルタンスは邪魔者扱いされていた。それでも、助手のパティシエのニコラアルチュールデュポンは優秀でオルタンスに協力的だったし、ギャルソンのダヴィッドイポリットジラルドもオルタンスの味方だった。

大統領が求めるフランスの伝統的な郷土料理を出すためにしきたりを破り、契約している業者の食材ではなく、自分の田舎などから食材を取り寄せて次々に料理を作っていくオルタンス。大統領はオルタンスの料理を非常に気に入り、彼女と話す機会を持ちたいと考えるようになっていた。料理好きの大統領は初めてオルタンスとゆっくり話す機会があったとき、予定の10分を大幅に超えて数時間もオルタンスと話し込み、側近たちをやきもきさせたりもした。

オルタンスがレシピを言いながら(彼女の料理する時のクセ)どんどん美味しそうな料理ができあがっていくので、見ているほうはたまらない。ワタクシはフランス料理が好きなので特にかもしれませんが、彼女の作る料理をすごく食べたくなりました。主厨房が意地悪で腹が立つんだけど、パティシエのニコラもギャルソンのダヴィッドも良い人で、オルタンスは料理に関しては絶対妥協しないのだけど、ニコラもダヴィッドも同じようにプロ意識の高い人たちだったので、彼らの仕事ぶりを見ているのはとても清々しかったです。

それにしても、“豪華絢爛な料理ではなくフランスの郷土料理”っていうのが、鴨だー、フォアグラだー、トリュフだー、なんたらチーズだー、っていうからびっくりしたよ。あれが彼らにとっては本当に故郷の味なんだね。いやー、まじ食べたい(笑)

エリゼ宮の話がほとんどなんだけど、時々南極の話が挿入されるのが初めはうっとおしくて、「南極の話はいらんわ」と思いながら見ていたんですが、ラストのオルタンスが南極を去るときのお別れ会のエピソードを見て、オルタンスの人柄がとてもよく表れているシーンだったのでなんだかじーんときました。

オルタンスを演じるカトリーヌフロがすごく可愛らしい女性で、50代だけど色気もあって、料理に関しては頑固なところがあるオルタンスを非常に魅力的に演じています。

フランス映画らしく特に大きな起承転結がある作品ではないのですが、出てくる料理とオルタンスの人柄に飽きることなく釘付けになる作品でした。

オマケ1アメリカ映画ならこういうときビックリするほど似ている役者を起用してくるもんだと思うんですが、ミッテラン大統領のあまりの似てなさにかえってあっぱれな気にさせられました。

オマケ2映画の最中ずっとしゃべっていたおばさんがいたんですが、トリュフをスライスしてパンに乗せるシーンで「あれ、何?」と連れの人に聞いていたんですよねー。オルタンスがすごくトリュフを愛していただけに、トリュフを知らずにこの作品を見て楽しめたのか?と心配になりました。


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