予告編を見たときに面白そうだなぁと思ったのですが、時間が合えば行けばいいかくらいのボーダーラインの作品だったのですが、ちょうど時間が合ったので見に行きました。テーマがテーマだからか、50歳以上の方がほとんどでした。
13歳から60年にも渡って梁家4代の家政婦をしてきた桃さんディニーイップ。いまは梁家3代目で生まれたときからずっと桃さんが面倒を見てきた独身のロジャーアンディラウの世話をしている。ロジャーは映画プロデューサーで出張が多いが、ある日家に戻ると中にいるはずの桃さんが出てこない。慌てて救急車を呼ぶロジャー。桃さんは脳卒中を起こしていた。
ロジャーの世話にはならないと言う桃さんだったが、ロジャーは桃さんのために施設を見つけてやり、入所させてやる。費用もロジャーが全部持つから心配ないと言って。
桃さんは家政婦さんではあるけれど、ロジャーにとってはほとんど母親のような存在で、小さいときからずっと面倒を見てきてくれた人。そして、どうやら数年前にロジャーは心臓を患ったことがあり、そのときにも桃さんは献身的に面倒を見てくれたようだ。忙しい合間を縫って面会に行くロジャー。ロジャーの幼馴染たちも桃さんを慕っていて、電話で桃さんを励ましたり、本当に小さい時から桃さんが献身的に面倒を見ていたことがよく分かる。
ロジャーの母親や姉も移民先のアメリカから桃さんを訪ねてきたりして、お土産やお金を渡したりと、桃さんとこの家族の非常に良い関係が描かれる。ロジャーのお姉ちゃんは桃さんが生きている間の費用をロジャーが出すなら、せめてお葬式の費用くらいは出させてね、と言う。
桃さんがこの歳になって家政婦として働けないような状況になっても梁家みんなで桃さんの面倒を見てくれるというのは、もちろん桃さんがこれまで本当に誠実に梁家に尽くしてきたからであり、それは桃さんの人徳というものだとは思う。ロジャーと桃さんのやりとりにも心があったかくなるし、笑えるシーンもある。この作品のプロデューサーの実体験に基づいたお話ということだから、それにケチをつけるのもどうかとは思うけど、ロジャーたちみんながお金があって良かったね。という気がしないでもなかった。家政婦さんを60年も雇い続けられるくらいだから裕福なおうちというのは当たり前だし、梁家の人々が桃さんにしたことはお金持ちみんなができることではなく、桃さん、梁家みんなが良い人だからできたことなんだとは思うけど、やっぱりこういうことはしたくてもできない人が多い中で、お金があるってやっぱ良いよなぁと、ちょっと貧乏人のヒガミと思われてしまいそうな感想を持ってしまいました。
いや、ワタクシがヒガミっぽい感想を持ったからといってこのお話が良いお話であることにはまったく変わりないし、お金持ちの嫌味みたいなものは全然感じられないお話なんですけどね。
アンディラウは作品に惚れてプロデューサーにも名を連ね、ノーギャラで出演したと言われています。ロジャーはいかにもお金持ちのぼんぼんといった感じで清掃業者やタクシー運転手に間違えられてしまうようなちょっとどんくさそうな男性を演じ、いつものアンディラウとは違う魅力を見せてくれます。
特に事件らしい事件も起こらない淡々とした作品なんですが、心温まる作品です。桃さんが飼っている猫が自然体で良かったなぁ。
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桃(タオ)さんのしあわせ
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