面白そうだなと思いつつも見に行く気はなかったのですが、タダ券があったので見に行ってきました。結果、見に行って良かったです。面白かったー。
全体的な感想としてはオバカで下品でエロいと聞いていたので、結構えげつないのを想像していたのですが、ワタクシの想像よりはマイルドでした。でもこれもダメな人はダメかも~というタイプの作品です。
まず始まり方からしてふざけている。Some Douchbag's Film(おバカな映画)主演God's Perfect Idiot(神が作った最高のバカ)と続いて、セクシーなオンナ、イギリス人の悪役、お笑い担当の脇役、といったふうに出演者スタッフを紹介。ティムミラー監督は自分自身のことは給料もらい過ぎのヤツ(toolって言葉は「手先」とかって意味?「ペニス」っていう意味とかけているのかも)と書いていて脚本家たちのことは「本当のヒーローは彼らだ」と自虐的に紹介していて、ふざけた中にも脚本家たちに敬意を示している。
いきなりド派手なアクションからスタートしてそのアクション中にデッドプールライアンレイノルズの回想として彼がなんでこんなマスクをして悪党と戦う羽目になったのかが語られる。回想っていうか、本当にこちら側にいる観客に話しかけて説明してくるところがまた面白い。彼は自分がコミックの主人公ということを自覚していてこちらに話しかけてきたり、映画の製作費が足りないとかぼやいてきたりします。こういう「第四の壁を破ってくる系」のって好みが分かれるところだと思うのですがワタクシは好きです。
その回想に登場するデッドプールはウェイドウィルソンという元傭兵。いまは適当に悪い奴を懲らしめて小銭を稼いでいる。そんな彼がバーで出会ったのが娼婦のヴァネッサモリーナバッカリン。ヴァネッサはウェイドと同じくらいクレイジーなキャラクター。2人は相性バッチリですぐに付き合い始め同棲して婚約に至った幸せの絶頂の時にウェイドは倒れてしまい、末期ガンだと診断される。
絶望した彼に近づいてきた男は彼にガンを治せると話す。ヴァネッサとの未来を考えガンを治したいウェイドはその男の施設に行くが、実はそこは奴隷を作るために人体実験をしている施設で、ウェイドはエイジャックスと名乗る男エドスクラインからミュータントの能力を覚醒させるためと拷問を受ける。壮絶な拷問の末に覚醒したウェイドだったが、拷問のため体中の皮膚が焼けただれたような姿になり、ヴァネッサの元に帰れなくなってしまう。
なんとか施設を逃げ出したウェイドは皮膚を隠すため全身タイツとマスクを手作りし、エイジャックス(本名フランシス)に復讐すべく行動を起こす。で、ここで最初のアクションシーンの意味が分かるのだけど、この説明中もアクション中もずーーーーっとずーーーーーっとデッドプールは喋りまくりのギャグ言いまくりの下ネタ言いまくり。ギャグの中には映画やコミックを元にしたものがたくさんあって映画ファンやコミックファンにはたまらない面白さ。ワタクシはコミックが元ネタのほうは分からなかったけど、映画が元ネタのほうはかなりウケました。
ライアンレイノルズが自分自身が演じたグリーンランタンや俳優としての自分自身を自虐的にネタにしてみせたりするのもなかなかに面白かった。ライアンレイノルズってこんなにいいセンスしてるとは思わなかったなぁ。見た目も(まぁほとんどがただれたような顔なんだけど)今回が一番カッコ良かった。ただれ顔になる前ね。彼は短い髪型のほうが似合うんですね。ずっとウェイドの髪型してるほうがいいと思うな。
ヴァネッサを演じたモリーナバッカリンは最近注目している女優さんで。ドラマ「ゴッサム」の中でもちょっと気の強い女性を演じているけど、今回ここまでぶっ飛んだ女性もできるんだーってなんだか嬉しくなってしまいました。勝手にちょっと優等生的なイメージがあったので。
ウェイドが好きな音楽がワム!だったりエンドロールが終わってからの格好が「フェリスはある朝突然に…」だったりと、80年代回帰みたいなのってここんとこ映画界での流行なのかなー。なんだかよく見かける気がします。
ここんとこヒーロー映画花盛り、食傷気味の中、私情の復讐のために悪者をバーン!って撃っちゃうデッドプールにワタクシは超スッキリしました。
アクションシーンは最初のやつが一番すごかったです。もうちょっとすごいやつを入れて来てくれても良かったと思うんですが、今回はウェイドがデッドプールになるまでのエピソードを語らないといけなかったからいっぱいいっぱいだったのかも。続編製作が決定しているようですので、続編ではもう少しアクションが見られるかも。続編だと過去を振り返るシーンを作る必要がないからウェイドはずっとただれ顔のままなのかなぁ。それはちょっと寂しいな。
オマケちなみに「第四の壁を破る」というのは「第四の壁」というのが劇場と観客を隔てる方向の透明な壁のことで、登場人物がその壁を破って、観客に話しかけたりすることを言います。