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Channel: シネマ日記
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ザ・ホークス~ハワードヒューズを売った男

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たいがい変な日本語題が多い中これは原題のまま「ザ・ホークス」カタカナだし音だけ聞くと普通の日本人なら the hawks と思わないかな?本当は the haox で、「タカ」ではなくて「だます」という意味を持つ単語。副題のハワードヒューズのほうはピンと来る人も多いかもしれない。レオナルドディカプリオが「アビエイター」という作品で演じた潔癖偏屈大富豪。

1970年代、冴えない作家のクリフォードアーヴィングリチャードギアは持ち込む本持ち込む本ボツにされ、思いついたのが当時隠遁生活を送っていた大富豪で超有名人のハワードヒューズの自伝を発表すること。しかも、自分だけが特別に本人と手紙のやりとりをして自伝を書くことを許されたと大嘘をついて、筆跡を真似て偽造した自筆の手紙を持参して出版社に売り込む。

筆跡鑑定までした出版社はクリフォードの言うことを信じて契約を結ぶ。出版社が払う大金をエサに親友ディックサスキンドアルフレッドモリナにハワードヒューズの調査を手伝わせる。ハワードヒューズと知り合いであることや彼から自伝を依頼されたことなどは全部真っ赤な嘘だったが、書く内容としてはきちんと書くつもりだったらしくクリフォードとディックはハワードの人生について調べて回る。

実際にあった詐欺事件を描いているのですが、原作はこのクリフォードアーヴィング本人が事の顛末を本にしたものらしく、ハワードヒューズの自伝のほうは最終的に嘘だとばれてしまったけれど、自分が起こした詐欺事件を本にして儲けたわけですね。どこまでもちゃっかりしています。

映画のほうは、クリフォードアーヴィングが周囲に疑われるたびにうまく切り抜けるさまや、彼がハワードヒューズに扮してテープレコーダーに声を吹き込んだりするシーン、そして、だんだんと自分の嘘に溺れていったクリフォードが何が本当で何が嘘なのかの境があいまいになっていくさまが描かれています。見ているこちらもどこからがクリフォードの幻想でどこからが実際にあったことなのか分からなくなってきて頭がこんがらがります。

人は小さな嘘よりも大きな嘘のほうがかえって信じやすいと言いますが、彼の嘘はまさにとてつもなく大きな嘘。いくらハワードヒューズが隠遁生活を送っているからといって自分が許可していない自伝が勝手に出たら、そりゃどこかからそんなウワサを聞きつけてバレるだろうことくらいは予想できたと思うんですけどねぇ。出版にこぎつけるまではいいけど、その後はどうしようと考えていたんでしょうか?そこまで考えないからあんな嘘つけるんでしょうけど。

クリフォード宛に送られてきたハワードヒューズとニクソンの関係が示された文書の入った段ボールは誰から送られてきたのだろう?ヒューズがニクソンに対して送ったワイロについての記述があったもので、ニクソンのことがだんだん疎ましくなってきていたヒューズ本人からのものだとクリフォードは考え、それを本に書くと意気込んでいたけれど、実際のとこあれはどこから来たものだったのかワタクシには分かりませんでした。

それが表沙汰になるのを恐れてニクソンが民主党がその本を手にしているかどうか知るためにかのウォーターゲート盗聴事件を起こしたというんだけど、本当?そこんとこが本当なのかどうかよく分からない。

このニヤついたクリフォードアーヴィングをリチャードギアが好演しています。彼って演技賞とかでノミネートとかされることはないけど、決して下手な役者さんではないですよね。熱演タイプではないけど。こういう役似合います。

あんまり見る機会がないかもしれませんが、ケーブルテレビなどで放映があればぜひ。


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